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5Gプロトコルに深刻な脆弱性、端末の追跡、通信の窃視・切断も可能「ユーザーは自らを守れ」と言われても……

5Gプロトコルに11件の脆弱性があることが判明した。悪用されると何が起こるのか? 想定される最悪の事態とは何か。

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 米国のパデュー大学とアイオワ大学の研究者チームが、5Gモバイルネットワークプロトコルに潜む11件の新たな脆弱(ぜいじゃく)性を公表した。これらの脆弱性が悪用されると、企業や個人のセキュリティが侵害される恐れがある。

 新たな脆弱性は、4Gネットワークと5Gネットワークの実用的知識とソフトウェア定義の安価な無線機さえあれば簡単に悪用できると指摘されている。これらの脆弱性を悪用するとさまざまなことが可能になる。例えば、ユーザーのアップリンクとダウンリンクのデータ伝送を監視できる。ユーザーの居場所を追跡することも可能だ。ユーザーをネットワークから完全に切り離すことも、切断と再接続を繰り返して端末のバッテリーを消耗させることもできる。

 5GReasonerが発見した別の5件の脆弱性は、4Gモバイルネットワーク規格にも影響していたことが知られている。これらの脆弱性は5Gのネットワークセキュリティで一部改善されたと大きくうたわれたが、実際には多くの作業が残っていることを示している。

 Bulletproofでマネージングディレクターを務めるオリバー・ピンソン=ロックスバラ氏によると、これらの脆弱性は対処すべき「恐ろしい脅威」だという。

 「過去には同様の脆弱性について、スマートフォンがどこにあるかを知られても構わないのではないか、そのことにどんなリスクがあるのかといった受け取り方があった。私に言わせれば、これは深刻な脅威だ。この脆弱性を悪用すれば、居場所を追跡できる。個人の居場所を突き止め、追跡し、盗み聞きして個人の評判を落とすことも、必要なときにスマートフォンを切断することも可能だ。こうした行為は著名人にとっては懸念材料になる」(ピンソン=ロックスバラ氏)

 ピンソン=ロックスバラ氏は研究で明らかになった別の懸念も強調する。5Gは完全自動運転車などの高度な自動化技術をサポートする手段になるとされている。脆弱性はハッカーが大混乱を引き起こす道具になり、標的を殺傷することさえ起こりかねない。

 これら全ての脆弱性は、組織的脆弱性公開プログラムの一環として標準化団体GSMAに報告されている。SecuronixでEMEAのバイスプレジデントを務めるロバート・ラムスデン=ボード氏は、モバイルネットワーク事業者に問題に対処するよう促した。

 「5Gプロバイダーは、5Gのセキュリティとプライバシー保護を弱体化してユーザーを危険にさらす恐れのある脆弱性から保護するために、必要な手段を講じるべきだ。とはいえクラウドの場合と同様、ユーザーもこうしたリスクを認識し、予防策を講じて自らを守らなければならない」(ラムスデン=ボード氏)

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