各SSDの特徴を再整理
3D XPoint、Z-NAND、TLC、QLC……ユースケースに最適なSSDとは
SSDには複数の種類があり、速度もコストも特徴も異なる。ユースケースに最適なSSDを選ぶには、各種SSDの仕様を理解しなければならない。場合によってはSSDによるストレージ階層化も検討すべきだろう。
“SSD”といっても全てが同じではない。Intelの「Optane」、Micron Technologyの「QuantX」など、3D XPointを使用するハイエンド製品は書き込み速度が1秒当たり数GBで、パフォーマンスはDRAMに近い。だが非常に高価だ。ローエンドのSSDでもHDDよりははるかに高速だが、書き込み速度は良くても1秒当たり500MB程度だ。
本稿では、各種フラッシュストレージのパフォーマンス、コスト、ユースケースの違いを紹介する。
パフォーマンス、容量、耐久性
適切なSSDを選ぶ上で、パフォーマンスは大きな差別化要因だ。だが、容量と耐久性も問題になるため、その選択は難しい。Seagate Technologyは2016年に60TBのSSDを設計したと発表したものの、現時点の商用SSDの最大容量は16TBだ。
SSDの価格は下がっているが、大容量SSDはまだ高価だ。Samsung Electronicsの15.3TBのTLCフラッシュドライブは約3000ポンド(約39万円)もする。一方、Seagate製の16TBのHDDは約400ポンド(約5万円)だ。
さらに、耐久性の問題がある。安価なフラッシュストレージほど短期間に消耗しやすい。QLCフラッシュは特にそうで、ストレージ全体を200回も書き換えないうちに寿命を迎える。QLCフラッシュが役立つのは、読み取り時間が短く消費電力が少ないことは求められても、書き込み頻度が少ないWebアプリケーションやアーカイブなどに限られる。ただし、こうした問題は高度な管理ソフトウェアと適切なエンジニアリングによって対処されている。
IDCでアナリストを務めるアンドリュー・バス氏は次のように述べる。「パフォーマンスが高いHDDでも、満足のいく密度、容量、速度を得るのは難しい。フラッシュであればコストパフォーマンス比が良く、能力も申し分ない」
NVMeはフラッシュメディア向けに設計されたインタフェースだ。接続規格にPCIeを使用し、SATAよりも高いI/Oパフォーマンスを発揮する。SATAは、最近までSSDの接続によく使われていたHDD時代のプロトコルだ。
NVMeはストレージアレイ製品のオプションの主流になりつつあり、サーバのアドインとして一般的になっている。NVMeはメディアとしてOptaneなどの3D XPointに加え、任意のNANDフラッシュを使うことができる。
Optane(3D XPoint)、Z-NAND
IOPS:書き込み50万、読み取り55万
帯域幅:読み取り6.6GB/s、書き込み2.3GB/s
容量:小
耐久性:優
コスト:高
IntelとMicronが開発した3D XPointは幾つかバージョンがあり、パフォーマンスは揮発性メモリに近い。OptaneはIntelのブランド名だ。
最もパフォーマンスが高いのは、Optane DIMMのバイトアドレス指定可能モードだ。これは速度とレイテンシの点でDRAMに近いが、容量はDRAMより多い。だが、IDCのバス氏によると最高のパフォーマンスを引き出すにはOSとアプリケーションのサポートが必要だという。
Optane DIMMのブロックアドレス指定可能モードは、アプリケーションを変更しなくてもストレージのアドレス指定ができる。だがパフォーマンスに悪影響があり、コストもバイトアドレス指定可能モードと同じく高い。ブロックアドレス指定可能モードはファイルベースの用途に適しているが、バイトアドレス指定可能モードほどのパフォーマンスは出ない。
Optane SSDは、一貫して高いパフォーマンスを発揮するフラッシュストレージの代替製品だ。だが高額なため、高パフォーマンスのストレージ階層などの用途への使用が適している。
Micronは、この製品ラインを「ストレージクラスメモリ」と呼んでいる。同社によると、「QuantX X100」ラインの製品速度は競合するSSDより3倍速いという。
Samsungが開発した「Z-NAND」はOptaneと競合する。この技術は、一定のパフォーマンスメトリックでパリティーをアーカイブする。パフォーマンスが高い理由は、SLCフラッシュにある。こちらも、非常に価格が高い。
TLCフラッシュ
IOPS:ランダム読み取り最大約8万5000
帯域幅:読み取り最大2.6GB/s、書き込み890MB/s(東芝「XD5」M.2)
容量:大
耐久性:劣
コスト:低(ただし、QLCフラッシュよりは高い)
NVMeインタフェースとSATAインタフェースのどちらでも使用可能なTLCフラッシュは、読み取りと書き込みの両方を行うワークロードに適している。451 Researchのティム・スタマーズ氏によると、今やデータセンターのストレージの大半がTLCフラッシュだという。TLCフラッシュは1つのセルに3bitの情報を格納するため、以前からあるMLCフラッシュよりも50%コスト効率が高い。そのため、SLC(1つのセルに1bit)やMLC(1つのセルに2bit)フラッシュに広く取って代わっている。
とはいえ、SLCやMLCフラッシュもパフォーマンスが高いため、そちらが好まれるケースもある。TLCフラッシュは耐久性ではなく容量を重視する技術なので、読み取り速度は十分だが書き込み速度は遅い。TLCフラッシュについて、Micronのストレージビジネス部門のジェイソン・エコールズ氏は、一般的な用途に適した技術だと評価する。特に、後述するQLCフラッシュよりも耐久性が高いためだ。
QLCフラッシュ
IOPS:ランダム読み取り最大約7万、ランダム書き込み1万3000(Micron「5210」)
帯域幅:読み取り540MB/s
容量:大
耐久性:劣
コスト:TLCフラッシュより低
QLCは最新のフラッシュ技術で、1つのセルに4bitの情報を格納する。容量は大きいが耐久性と速度は犠牲になる。IOPSについては、読み取りパフォーマンスは高いが、書き込みパフォーマンスは非常に低い。そのため、QLCフラッシュが適しているのはアーカイブなど、書き込みサイクルがほとんどない用途だ。
ストレージの階層化
実際問題として、データセンターのあらゆる要件を一つで満たせるフラッシュストレージは存在しない。そのため、ほとんどのITチームがストレージの階層化を行っている。ワークロードに応じてストレージをマッチングすることで、耐久性、容量、パフォーマンス、コストのバランスが最適化される。
だが階層化するとHDDやテープなど、SSD以外のストレージメディアが組み込まれる可能性がある。それは、大半の企業がまだ完全なSSD環境には移行していないためだ。
451 Researchのスタマーズ氏は次のように述べる。「HDDを全く使っていないデータセンターはほとんど存在しない。HDDなしを実現しているのは、政府の治安当局などのパフォーマンスニーズが非常に高く資金潤沢な組織か、ストレージの容量要件が少なくて運用の単純化の代償として出費を正当化できるIT組織くらいだ」
「従って、階層化が非常に重要となる。HDDとフラッシュを組み合わせた多数のハイブリッドストレージが現在進行形で運用されており、今後何年もその状況は続くだろう。また、最高層のOptaneに加えてフラッシュ内に保持されたデータを組み合わせ、全てをSSDのハイブリッドシステムにしたとしても、階層化は重要だ」
スペックの出典:IDCおよびメーカーのデータ。本稿のためにストレージ技術の分類を支援してくれたIDCのアンドリュー・バス氏に感謝する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Computer Weekly日本語版
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
技術文書・技術解説
[ネットアップ合同会社] 金融庁ガイドラインから読み解く、「次世代データレジリエンス」の在り方 -
製品資料
[ネットアップ合同会社] 製造DXでデータ活用ニーズが拡大 分散データ活用とAI活用をどう実践する? -
製品レビュー
[ネットアップ合同会社] AIで使いたいデータが内外に点在、研究におけるAI活用を阻む“真の課題”とは -
製品資料
[株式会社kickflow] 稟議・承認作業の「脱オンプレ・脱Excel・ペーパーレス化」を一気に進める方法 -
製品レビュー
[株式会社kickflow] ワークフローシステムのクラウド化 “みんなが不幸になる”事態を避けるには?
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
「年1回の外部診断」が限界に 大手小売が脆弱性管理を内製化・一元化した方法
-
2
そのアプリ危険かも? “野良アプリ”から「Android」「iOS」を守る防御策
-
3
被害額は過去最高額 それでも「サイバー犯罪者が捕まらない」3つの理由
-
4
なぜ人はいるのにDXが進まない? ライオンも直面した“老害”レガシーシステム
-
5
徹底レビュー:仕事一筋のビジネス向けノートPC「ThinkPad T470」の実力は?
-
6
いまIBM iエンジニアが直面する「5つの技術的課題」とその解決策
-
7
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
8
「ポケモンGO」の運営は“AI任せ”だと大失敗? レイドを支えるインフラの正体
-
9
IT製品の導入に関するアンケート「PC&デバイス」編
-
10
なぜ老舗保険会社は「AWSへの全面システム移行」を選んだのか?
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
5
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
6
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
7
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
8
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
なぜRPA導入は頓挫する? シナリオ作成の壁を乗り越える解決策とは
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー