医療IoTのリスクと対策【後編】
「医療IoTデバイス」のセキュリティを確保する5つのステップ
医療IoTデバイスはひとたび侵害されたら患者の生命を脅かすリスクがある。安全のために、医療機関がやるべき対策を5つのステップに分けて紹介する。
医療機関のIT管理者は、患者の安全を確保するため、目まぐるしく進歩するIoT(モノのインターネット)デバイスとデータの保護に関する問題を理解しておかなければならない。医療用途のIoTデバイスの中には患者の身体に埋め込んで常時データを収集するものもある。こうしたIoTデバイスが攻撃者に侵害されデータが直接改ざんされたら、最悪の場合、患者の健康を害する可能性もある。前編「ペースメーカー停止の恐れも 『医療IoTセキュリティ』を無視できない理由」、中編「『医療IoTデバイスへの攻撃』から患者の命を守るために、まずやるべきこと」に続く後編となる本稿は、医療機関のIoTセキュリティ強化のための5つのステップを紹介する。
ステップ1.デバイスの目録を作成する
調査会社451 ResearchでIoTのリサーチディレクターを務めるクリスチャン・ルノー氏は「デバイスの存在を把握しなければ、そのセキュリティを確保できない」と説明し、医療機関に対して全ての資産を網羅する図表の作成を勧める。IoTデバイスは「役に立つ」という理由だけで、リスクの事前評価もなしに病院内ネットワークに持ち込まれてしまうケースが少なくない。例えば患者が音楽を聴きたいからと「Google Assistant」(Googleアシスタント)や「Amazon Alexa」などの音声アシスタントを搭載したスマートスピーカーを院内に持ち込む可能性がある。
ネットワークに存在するIoTデバイスを検出するためのインベントリ管理ツールを提供している医療機器メーカーもある。こうしたツールは、検出の際にIoTデバイスの機能を中断することはなく、OSが搭載されていないIoTデバイスも検出する。各IoTデバイスで実行されているOSも特定できる。
併せて読みたいお薦め記事
医療のIoT(モノのインターネット)とセキュリティ対策
医療機関のセキュリティ製品選び
ステップ2.ベストプラクティスに従う
医療従事者は、医療分野におけるIoTデバイスのセキュリティ強化のためのベストプラクティスに従わなければならない。具体的には「初期設定パスワードを使わない」「ファイアウォールや暗号化技術を導入する」といったことだ。デバイスを導入する前にリスクを評価し、どのような脆弱(ぜいじゃく)性があるかを理解し、行動予測分析に基づいてネットワークトラフィックを監視し、異常の有無を検知する必要がある。ソフトウェアを定期的にアップデートすることも重要だ。
ステップ3.効果的な認証を実装する
公開鍵暗号基盤(PKI)とデジタル証明書を導入すると、ネットワークや電子カルテシステム、他のデバイスへの接続を認証して、伝送中にデータが中間者攻撃によって操作されていないことを保証しやすくなる。
ステップ4.ネットワークをセグメントに分割する
IT管理者は制御機能が組み込まれていないIoTデバイスをネットワークから隔離しなければならない。そのIoTデバイスを治療に使用しなければならない場合、IT管理者はIoTデバイスのインターネット接続機能を無効にする。IoTデバイスをインターネットに接続しなければならない場合、医療機関はベンダーの協力を仰ぎ、IoTデバイスが接続する必要のある場面を特定し、許可リストを作成して必要な接続のみを許可する。拒否リストを作成して、IoTデバイスが既知の有害なWebサイトに接続できないようにする方法もある。
ルノー氏は「IT管理者はパブリックネットワークと他のネットワークのセグメントを分けたり、仮想LANの資産やイベントへのアクセスを制限したり、部門ごとにトラフィックを分離したりしなければならない」と指摘する。レガシーデバイスはゲートウェイで保護することで、IoTデバイスの物理接続のセキュリティを確保できる。
ステップ5.適切なツールを使用する
IoTセキュリティの運用をシンプルにするツールを導入する手もある。大量のデータやIoTデバイスの管理を自動化するツールもある。医療機関Intermountain Healthcareで最高情報セキュリティ責任者(CISO)を務めるカール・ウエスト氏によると、医療機器メーカーは自社製品の管理用に
- 接続するIoTデバイスは何か
- どのようなデータを収集しているか
- どこでインターネットに接続しているか
を識別できる専用ツールを開発している。IT管理者がネットワークトラフィックを監視して、接続を承認したり拒否したりするには、IoTデバイスの分析ツールが役に立つ。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[スパイスファクトリー株式会社] レガシーに消えるIT予算8割 「刷新か延命か」をAIと人で見極めるための手順 -
製品資料
[JetBrains s.r.o.] ソフトウェア開発は「コーディングエージェント」でどう変わるのか? -
事例
[テクバン株式会社] 太陽ホールディングスは国内外拠点の端末5000台をどう管理しているのか? -
事例
[株式会社キーエンス] PCが苦手でも自動化できる ポポラマーマなど4事例に学ぶ「ナビ搭載型RPA」活用 -
製品資料
[株式会社キーエンス] 自分ひとりでデスクワークを効率化 「AI&ナビ搭載RPA」で実践する業務自動化
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
Microsoft 365侵害企業の9割はMFA導入済み 1002人調査で見えた盲点
-
2
「GitLab」に最高深刻度の脆弱性 2014年以降の全版に影響を及ぼす恐れ
-
3
PHPはそもそも必要か? 脆弱性で問われる自社サイト安全性と保守負担のバランス
-
4
テザリングにも「限界」がある モバイルルーターを選んだ方がよい基準は?
-
5
「Copilot」がIT予算を食いつぶす? 高額請求を招く課金体系と節約術
-
6
Copilotを使うほど請求が膨らむ? Microsoftが仕掛けるAIエージェント課金
-
7
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
8
「プログラマー不要論」にThe Linux Foundationが示した答え
-
9
IDaaSの限界を超える一手 複雑な要件に応える「認証オーケストレーション」
-
10
AI時代のITインフラ変革 ネットワークの重要性と「予測をやめる投資」とは
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
3
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
4
10G回線の真価をフルに享受するには? 導入前にチェックしたいポイント
-
5
SCS評価制度時代の「SASE選定」ガイド
-
6
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
7
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
8
「EDR」選定ガイド:比較・検討フェーズで整理すべきポイントを解説
-
9
MDMだけでは防げない? Appleデバイスに潜む5つのセキュリティギャップ
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー