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ファイル/オブジェクトストレージ統合の可能性統合ストレージへの道【後編】

ファイルシステムベースのストレージとオブジェクトストレージを統合するメリットはあるのか。統合による影響とは何か。

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 前編「ファイルストレージとオブジェクトストレージの統合の課題」では、ファイルシステムベースのストレージとオブジェクトストレージの特徴を整理した。では両者を統合することに意味はあるのだろうか。

メリットとデメリット

 ファイルとオブジェクトのプロトコルを1つのストレージシステムに組み合わせると、オブジェクトストレージとOS、アプリケーション、ファイルアクセスとの互換性によってもたらされる効率性、拡張性、ハードウェアの独立性というメリットを得ることができる。

 ファイル/オブジェクト統合ストレージは、柔軟性、スケーラビリティ、高いパフォーマンスを兼ね備えたユニバーサルストレージという新たな時代の先がけとなるのだろうか。

 ファイルとオブジェクトを組み合わせたシステムは、クラウドストレージやシンプルなNASよりも複雑かつ高価になる可能性が高い。

 オブジェクト、ファイル、ブロックを1つのシステムで運用するのは可能だ。だが、特にブロックレベルの高速アクセスを必要とするデータベースやエンタープライズシステムなどの場合、パフォーマンスへの悪影響が大き過ぎる。

 市場は、スケーラビリティと柔軟なデータアクセスが目的ならファイルとオブジェクトが中心になり、パフォーマンスが目的ならアレイレベルでのファイルとブロックに落ち着く可能性が高い。

ユースケース

 今のところ、ファイルとオブジェクトを組み合わせるベンダーは特定のユースケースをターゲットにする。

 Pure Storageのファイル/オブジェクト統合ストレージが狙いとするのは、AI、データ分析、ハイパフォーマンスコンピューティングだ。ファイル/オブジェクト統合ストレージは、異なるフォーマット間でデータを移動する必要がある状況でも使われる。クラウドネイティブアプリケーションのサポートには恐らくオブジェクトを使用する。

 「IBM Spectrum Scale」は、ファイル/オブジェクト統合ストレージは時間節約になると見なしている。分析アプリケーションがデータを読み取れるように、オブジェクトストアからファイルシステムにデータを移植する必要がなくなる。同じデータをオブジェクトとしてもファイルとしても読み取ることができるためだ。

革命ではなく進化

 ただし、ファイル/オブジェクト統合ストレージは、既存技術の進化というよりも、これまで市場区分がなかった技術だと業界の観測筋は見ている。データの格納方法の複雑さをエンドユーザーから隠し、データの格納方法と格納場所をインテリジェントな技術によって決定するのが理想だ。

 451 Researchのヒル氏は次のように話す。「進化のプロセスと同じぐらいの数の市場区分があるかどうかは分からない。クラウドにあるデータの大半はオブジェクトストレージに存在する。そのため、両プラットフォームの機能をより適切に活用して、あらゆる形式のストレージにまたがってグローバルなデータ管理を提供し、データのライフサイクルを自動化してセキュリティを確保する必要がある時機に来ている」

 SNIA(Storage Networking Industry Association)でEMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ地域)の理事長を務めるアレックス・マクドナルド氏もこの意見に同意し、クラウドが統合ストレージへの移行を促していると考えている。「クラウドプロバイダーは、データへのアクセスに使用するプロトコルとは別に、ファイルサービスとオブジェクトサービスを用意している。両サービスは、同じものに基づいて構築されており、同じデータへのファイルアクセスとオブジェクトアクセスを可能にする」と同氏は話す。

 問題は、企業の残りのストレージニーズをカバーするように、この技術がどの程度迅速かつ効果的に拡張されるかだろう。

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