クラウドストレージの見落としがちな課金要素に注意:クラウドストレージコスト削減法【前編】
データ量がクラウドストレージの料金に最も影響するのは当然だが、他にも課金される要素が存在する。これを見逃すと請求書に仰天することになる。
クラウドストレージに関する議論の大半はコストだ。重要なのは、そのコストがかかる対象と、予期しない請求が発生しないようにする方法を理解することだ。
コストの主な要素
クラウドストレージのコストはユースケースによって大きく異なる。データへのアクセス、保存するデータ量、取得頻度、ネットワーク帯域幅が全てコストに加算される。
データ量
コストの主な要素の一つがデータ量だ。独立系テクノロジーサービスプロバイダーWorld Wide Technologyのデイブ・ロック氏(ヨーロッパ、中東、アフリカ担当チーフテクノロジーアドバイザー)によると、大企業がクラウドのメリットを生かそうとするならペタバイト規模のデータをクラウドに移行することになるため、そのデータ量がコストに大きく影響するという。
「データ量は単なる数値の問題だ。だがこの数値は極めて大きくなる。企業は、コスト効率良く大きなデータセットを管理する方法を自問することになる」と同氏は話す。
データセットが非常に大きくなるだけではない。データ量という点ではさらにコストがかさむ要因が加わることが多いと同氏は補足する。
「グローバルに事業を展開する企業がクラウドサービスを利用する場合、データのコピーを米国、ヨーロッパ、アジアなど複数の場所でホストする必要があるだろう。こうしたデータのコピーに関連するコストもある。だがコストはこれで終わりではない」(ロック氏)
運用
データに対する操作に関連するコストもある。これは「Google Cloud」のバケットとオブジェクトに関する情報を一覧表示すれば分かる。そう話すのはIlandのジャスティン・オーガット氏(マーケティング部門バイスプレジデント)だ。
「通常、運用は数千(あるいは数万)の実行項目に基づいて価格が設定され、さらに異なる価格設定が可能なクラス(クラスA、B、Cなど)別に細分化されている」
「全てのベンダーが同じように運用コストを分類しているわけではない。そのため、自社のユースケースに合わせて運用コストが最適になるように確認する必要がある。長期バックアップなどの静的データ用であれば、ストレージの運用コストよりもストレージ容量のコストを優先することになる」(オーガット氏)
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ネットワークとエグレスのコスト
クラウドストレージのコストは、データ1GB当たりにかかるコストだけではない。データの入出力に関係するコストもある。
多くのサービスで2種類のコストがかかる。一つは異なるドメインのサーバ同士が通信するたびにかかるコスト、もう一つはインターネット経由でデータを転送する際にかかるコストだ。
「Amazon Web Services(AWS)は、パブリックIPアドレスの使用に対して課金する。専用帯域幅の購入ではないため、各IPアドレスに対してデータ転送料金が追加される。動画のダウンロードを促すWebサイトを作る場合はこの追加課金が問題になる恐れがある」と話すのは、ITサービスプロバイダーFordway SolutionsのCEOリチャード・ブランフォード氏だ。
「動画が再生されるたびに課金されるため、100MBの動画を数千人のユーザーがダウンロードすればその料金はあっという間に積み上がる」(ブランフォード氏)
プロバイダーがエグレス(出力、ダウンロード)の帯域幅に課金する場合もあることをオーガット氏は警告し、次のように話す。「これはクラウドストレージのリージョン外にユーザーがいる場合のネットワークアクティビティーに通常割り当てられる追加コストになる」
後編では、まだある課金要素とコストの削減方法を紹介する。
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