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いまさら聞けない「VPS」(仮想プライベートサーバ)とは 利点と注意点を整理「VPS」と「VPC」の違い【前編】

「VPS」と「VPC」は何が違うのか。まずは両者の簡単な違いを整理した上で、VPSの特徴や注意点を解説しよう。

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 「VPS」(仮想プライベートサーバ)とVPC(仮想プライベートクラウド)は、どちらもアプリケーションを稼働させるためのサーバとして利用できるが、適する用途は異なる。VPSが適しているのは堅固なセキュリティと安定した稼働が求められるアプリケーションであるのに対し、VPCが適しているのは需要が変化するアプリケーションだ。

VPS(仮想プライベートサーバ)とは

 VPSは1台の物理サーバで稼働するユーザー企業専用の仮想マシン(VM)だ。VPCは、ベンダーが所有する複数の物理サーバにまたがって稼働するVMで、スケーラビリティ(拡張性)を高めやすい。

 IT担当者はVPSとVPCを比較するとき、まず稼働させるアプリケーションの種類を考えるとよい。サーバの細かい管理や高い信頼性を必要とし、長期間同じエンドユーザーに使われるアプリケーションなら、VPSを使用すべきだ。インフラの要件やニーズが絶えず変化するアプリケーションであれば、VPCの方が向いている可能性がある。

 VPSは、他のユーザー企業が利用するVPSと一緒にベンダーの物理サーバで稼働する。他のユーザー企業のVPSとは相互に通信できない。物理サーバと同じように機能し、IT担当者はリモートで設定できる。アプリケーションを実行するための物理サーバを購入する十分な予算や設置スペースを確保できない場合にVPSが選択肢となる。

 一般的なVPSサービスは、ハイパーバイザーを介してVPSごとにメモリやストレージといった物理サーバのリソースを割り当てる。特定のユーザー企業のVPSに割り当てられたリソースを、他のVPSが利用することはできない。

 ゲストOSを細かく制御でき、1台のVPSをWebサーバやメールサーバなど複数の用途で利用できることもVPSの特徴だ。他のユーザー企業とVPSを共有しないため、信頼性を確保しやすく予想外のトラブルが起きづらい。

VPSの注意点

 VPSは物理サーバのホスティングサービスと同等のメリットを提供し、かつ利用料金はそれほど高くない。ただしパブリッククラウドのVMサービスと比べれば高価な傾向がある。ソフトウェアのインストールやソフトウェアへのパッチ適用、セキュリティ対策のアップデートはユーザー企業が実施する必要があるため、高い専門知識も必要だ。

 ネットワークの帯域幅(回線容量)とストレージI/Oに問題が生じることを防ぐために、物理サーバで同時に稼働させるVPS台数が多くなり過ぎないよう注意が必要だ。セキュリティリスクもある。ハイパーバイザーはリソースとデータをVPS同士で共有しないようにはするが、攻撃者がハイパーバイザーを標的にして脆弱(ぜいじゃく)性を悪用する懸念は残る。ユーザー企業はセキュリティを確保するために、VPSでは信頼できるソフトウェアのみを実行し、VPSに適切なセキュリティソフトウェアをインストールする必要がある。

 こうした課題があるものの、VPSはホスティングのメリットの幾つかを安価に利用したい中小企業にとっては魅力がある。サーバの細かい制御や高い信頼性、Eコマースサイトの運営などが必要な企業には、VPSが適している。


 後編はVPCの特徴と適している用途、注意点を説明する。

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