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コンピュテーショナルストレージの具体的な使い道とは?コンピュテーショナルストレージ最新動向【後編】

ストレージに演算能力を追加することで、どのようなことができるのか。使い道や各社の製品を紹介する。

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 前編(コンピュテーショナルストレージの最新技術動向)では、SNIAによる定義も交えてコンピュテーショナルストレージの最新技術動向を紹介した。

 後編では、コンピュテーショナルストレージのユースケースと主要サプライヤー&製品を紹介する。

コンピュテーショナルストレージのユースケース

 コンピュテーショナルストレージは、ストレージからCPUへのデータ移動がボトルネックになる用途、つまりコンピューティング機能を集中的に使うのではなくデータを集中的に使う用途に適している。FPGAまたはSoCが対応できる処理能力は限られているからだ。

 少なくとも今のところ、完全なOSを実行できるコンピュテーショナルストレージを提供しているサプライヤーはほとんどないため、機能が固定されたCSDが適しているのは重複排除、ストレージ管理、暗号化など、事前に決められた固定ワークロードになる。

 プログラム可能なCSDはSoCベースのシステムと同様、AIやBI(ビジネスインテリジェンス)に適性を見いだしている。データベースの高速化にも用いられている。

 CPUがコードを直接読み込めるのはSoCベースのシステムに限定される。それはx86からArmへのクロスコンパイルコードが必要になることを意味する。だがこれによってユーザーに高い柔軟性が提供され、必要に応じてアプリケーションからCSDに処理を移動できるようになる。

 CSDが独自のネイティブネットワークを備えるようになれば、タスクを直接共有してCPUの負荷をさらに軽減できる。あるいは、1つのCSDには荷が重過ぎる複雑な作業をエッジで行うことも可能になる。

 「ストレージは安価になった。データレイクに大量のデータを移動する場合など、反復処理が多いアプリケーションもある。ストレージレイヤーで圧縮や重複排除ができれば得られるメリットは大きい」(ラーセン氏)

 ラーセン氏は、動画圧縮やCDN(コンテンツ配信ネットワーク)用ストリーミングサービスへの応用にも期待している。「PostgreSQL」や「MySQL」などのデータベースの高速化に使われる場合も増えると予想する。

 「コンピュテーショナルストレージはまだニッチな技術だ。ビジネスにとって不可欠でない限り、恐らくデプロイされないだろう。汎用(はんよう)的な演算処理能力を倍増する方が安価な場合もある」(ラーセン氏)

コンピュテーショナルストレージのサプライヤー

 Pliopsは「Storage Processor」をデータベースなどのデータ集約型ワークロードのハードウェアアクセラレーターとして市場に投入している。同社製品はコンピューティングとストレージのノードアクセラレーションにNVMeベースの技術を使っている。同社が重視するのはPostgreSQLとMySQLだ。

 SamsungのSmartSSDはXilinxのFPGAを実装している。SmartSSDはSamsungまたはXilinxから入手できる。SmartSSDはBI、金融ポートフォリオインテリジェンス、航空業界向けと位置付けられている。

 NGDはOSを実行できるSoCを使っている、現時点では唯一のサプライヤーだ。同社によるとNANDフラッシュに依存せず、64bitのLinuxを実行できるという。

 Eideticom(Eidetic Communications)は「NoLoad」をコンピュテーショナルストレージプロセッサとして提供している。同社はこれを「初のNVMe CSP」と称している。ターゲットにするのはデータセンターインフラの高速化や科学研究、一般的なコスト削減だ。

 ScaleFluxの「CSD 2000 Series」は、データパスの圧縮と圧縮解除によって最大8TBの3D NANDをサポートする。

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