無線LAN刷新で「ハイブリッド教育」実現の大学が語る、パートナーの選定理由:コロナ禍でドエイン大学が進めた無線LAN刷新【後編】
オンラインと対面の教育を組み合わせたハイブリッド教育実現のために、ドエイン大学は無線LANシステムを刷新した。重要な役割を果たしたのがシステム構築のパートナーだ。同校はパートナーをどう選んだのか。
前編「大学が“完全オンライン教育”実現で直面した『古い無線LAN』の限界とは?」は、オンライン教育と対面教育の両方を取り入れたハイブリッド教育への移行に向けて、キャンパス内の無線LANシステムの刷新を進めた米国のドエイン大学(Doane University)の取り組みを紹介した。後編は、刷新の内容をより具体的に紹介する。
無線LAN刷新成功の鍵 「パートナー」をどう選んだのか
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ドエイン大学でIT運用部門のディレクターを務めるライアン・ドーソースト氏によると、同校は無線LANシステムの刷新プロジェクトを管理するために、パートナーとしてリセラーの協力を得ることに決めた。サプライチェーンの問題によって選定の対象にはならなかった業者もある。納品までに58日を要すなど「明らかに計画の実施期限に間に合わない業者もあった」とドーソースト氏は述べる。
候補として浮上したのは、マネージドサービスプロバイダー(MSP)のDataVizionだった。同社は医療業界や教育業界の中規模企業を中心に600社にサービスを提供している。パートナーにはHewlett Packard Enterprise(HPE)、HPE傘下でネットワーク機器を扱うAruba Network、セキュリティ製品を扱うPalo Alto Networksなどが名を連ねている。
DataVizionは、次の構成で入札に参加した。
- 人工知能(AI)技術を活用したArubaのネットワーク管理製品「Aruba ESP」(ESP:Edge Services Platform)
- Arubaのスイッチ「Aruba CX」シリーズ
- Arubaのクラウドサービス形式のネットワーク管理ソフトウェア「Aruba Central」
- 無線LAN規格「IEEE802.11 ax」(Wi-Fi 6)準拠の無線LANアクセスポイント
ドエイン大学がDataVizionを選択した理由は「価格設定に競争力があった点と、厳しい実施期限を満たしていた点にある」とドーソースト氏は話す。
第1段階は2学期開始前に完了
無線LANシステムの刷新計画第1段階である学生寮への無線LANアクセスポイントの設置は、計画通り2学期が始まる前に完了した。これによりドエイン大学は、2学期の開始時に学生寮に戻る学生に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査を実施できた。陰性の学生には対面講義への参加を許可し、それ以外の学生にはオンライン講義への参加を可能にした。
教育に使用するアプリケーションの応答やデータ通信の速度といったパフォーマンスが、無線LANシステムの刷新で向上した。DataVizionとArubaの協力によって「複雑なシステムを短期間で構築できた」とドーソースト氏は語る。
移行の第2段階で得られるメリットは
ドエイン大学は2021年夏に、無線LANシステム移行プロジェクトの第2段階を実施した。無線LANシステムだけでなく「学生の学習体験を変えることも目的だった」とドーソースト氏は話す。第2段階での主な取り組みは以下の通りだ。
- 有線LANと無線LANの管理用ユーザーインタフェースを共通化する
- ネットワーク管理の効率を上げる。Arubaのポリシー管理製品「Aruba ClearPass」を活用した。
- ネットワークの可視性を向上させる
- 大学が学生に送信するデータ量など、ネットワークの使用状況に関する新しいレポートを出力できるようにする。
- 大学職員によるネットワークの監視を可能にする
- 「VPN」(仮想プライベートネットワーク)を利用しなくても、スマートフォンなどの任意のデバイスを使ってどこからでもネットワークを監視できるようにする。
- IoTサービスの導入、管理を可能にする
- BluetoothやZigbeeといった近距離無線通信が可能なArubaの無線LANアクセスポイントを利用することで、照明、サーモスタット、暖房ユニットなど、キャンパス内のさまざまなIoTデバイスが通信できるようにする。
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