“楽しめない遠隔医療”は駄目? コロナ禍後は「デジタル体験」が鍵に:「あれば助かる」から「必要不可欠」へ
調査によれば、コロナ禍を期に半数近くが遠隔医療サービスを利用し、過半数は遠隔医療の利用を増やす意向を示す。専門家は、今後の遠隔医療は「デジタル体験の質」にも配慮する必要があると考えている。その意味は。
デジタル体験向上のためのテストツールを提供するApplause App Quality(Applause)の調査によると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の後、遠隔医療サービスが確実に普及していることが明らかになった。約5000人の調査対象者のうち63%が、パンデミック後に遠隔医療の利用を増やすと回答した。
Applauseは「遠隔医療自体は新しいものではない」と認めつつも、Web会議アプリケーションの進化、スマートフォンの普及、ブロードバンド環境の整備によって「より多くの用途が実現できるようになった」と強調する。調査結果は遠隔医療が急速に普及し、持続していることを示している。
遠隔医療にも“楽しさ”が必要? 「デジタル体験」が重要に
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調査によれば、回答者の約半数(46%)が少なくとも1回は遠隔医療サービスを利用したことがある。その84%が、パンデミックの際に対面診療を避けるために遠隔医療サービスを利用した。
Applauseによると、遠隔医療ベンダーにとっての朗報は、回答者の大半(63%)に、パンデミック前よりも遠隔医療サービスを利用する意識が高まっていることだ。48%の患者が「遠隔医療サービスではできなかったことがある」と答えたにもかかわらず、77%の患者が遠隔医療サービスの利用に満足していると回答している。COVID-19によって多くの患者が遠隔医療サービスの実用性を知ることになり、より多くのサービスがオンラインで利用できるようになることを望んでいるということだ。
欧州・中東・アフリカ地域(EMEA)は、遠隔医療サービスの利用において他国に後れを取っていることが調査で分かった。南北米では51%の回答者が、アジア太平洋地域では49%の回答者が既に遠隔医療サービスを利用したことがあるのに対し、EMEAでは約3分の1(37%)にとどまっていた。
調査によるとどの地域においても、遠隔医療サービスの導入を阻む障壁はネットワークのアクセス性と可用性だった。遠隔医療サービスを利用したことがない54%の回答者のうち、その46%が理由として「ネットワークを利用できない」と答え、39%が医師との対面診療を望み、8%が「最近は医師の診察を受ける必要がなかった」と答えた。
卓越したデジタル体験が、あらゆる業界のブランドにとって重要な差異化要因となっていることは「引き続き注目すべきトレンドであり、これは医療分野も例外ではない」と、Applauseのチーフグロースオフィサーであるルーク・ダミアン氏は話す。「遠隔医療サービスは『あれば助かるもの』から『必要不可欠なサービス』へと急速に変化している」とダミアン氏は指摘。医療機関は遠隔医療サービスのオプションを提供するだけでなく「簡単かつ直感的で、楽しく使える体験を提供しなければならない」と主張する。
Applauseは、他の調査会社やアナリストも同意見を持ち、遠隔医療サービスが急速に加速しているという結論に達していることを指摘している。
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