多くの企業でAIプロジェクトが失敗してしまう根本的な要因と勘違い:こんな企業は失敗する
AIを導入しようとする企業の多くが活用に失敗している。それはAIの活用に不可欠な要素が欠落しているからだ。データに対する勘違いもAI活用を阻害している。
多くの経営幹部はAIを活用して他社をリードし、事業を成長させる必要があると考えている。だがAIプロジェクトを全社に拡大できない企業は多いとAccentureの専門家は言う。
Accentureのリー・ジュン・ソン氏(ASIAM:ANZ[Australia、New Zealand]、Southeast Asia、India、Africa and Middle East応用インテリジェンス担当マネージングディレクター)は、世界の経営幹部の88%は自社が生き残るためにAIが必要だと考えている一方、同じ割合の経営幹部がパイロット段階以上にAIプロジェクトを拡大するのに苦戦していると指摘する。
「多くの人々がAIの可能性を理解し、AIプロジェクトに着手している。だが、その可能性を完全に実現している人はあまりいない」
リー氏によると、データと分析の最高責任者がAIを構築しても、事業部門は「通常通りに事業に取り掛かる」ことを選択する可能性があるという。
AIプロジェクトの拡大には人材の確保も重要だ。「AIをあまり理解していない事業部門の担当者をデータサイエンティストやエンジニアの一団の中に配置しても、何も起こらない」
問題の核心は「仲介役の不在」だ。分析能力を備え、業務チームとデータサイエンスチームの橋渡しができる人材が不足している。
関連記事
- AI導入成功企業の共通点は「AIかどうかを選定理由にしない」こと
- 米国にまん延する「AIでセキュリティの課題は解決」論の危険性
- AIによるプログラミングの限界と想定される危険性
- AIを導入するのは「より安く・速く」するためではない
データ基盤の構築
AIプロジェクトでは「データが成長を加速する燃料」になるため、強力なデータ基盤を用意する必要がある。大規模なデータはクラウドで管理しなければならないとリー氏は指摘する。
必要なデータ量を把握していない企業も多い。一般的にデータ量は多いほど良いと考えられているが、必ずしもそうとは限らない。「データの品質などにも問題を抱えている。信頼できる唯一のソースがなく、人によってやや異なるバージョンのデータを使っている」(リー氏)
こうした課題は短期間で簡単に解決できるものではない。AIのユースケースに戦略レベルで優先順位を付け、具体的なユースケースを適切にサポートできるデータセットを確保することから始めるべきだ。
AIを民主化する
AIプロジェクトを拡大するもう一つの方法は、AIとデータサイエンスの機能を民主化してシチズンデータサイエンティストがその機能を利用する道を開くことだ。
シチズンデータサイエンティストはAIの専門家ではないかもしれない。だが「シチズンデータサイエンティストはツールを使ってAIソリューションを開発する可能性を持っている」とリー氏は言う。
クラウドベースのAI APIによって、コーディングスキルがなくてもAIを簡単に構築できるようになっている。
「博士号を持つAIスペシャリストが必要なことは変わらない。だが多数のシチズンデータサイエンティストも必要になる」とリー氏は補足する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.