「うちの研修は効果がある」と管理職の8割が自慢、うなずく社員は4割以下:調査から読み解く英国のデジタルスキル人材不足【後編】
従業員のスキル開発に関する調査の結果、管理職と一般職の間に意識の差があることが分かった。調査結果を基に、どのような観点にずれがあり、企業は今後従業員のスキル不足にどう対処すべきなのかを解説する。
近年の企業は、従業員のデジタルスキル不足を解決するための研修を積極的に実施している。従業員の継続的なデジタルスキル習得を推し進めることによって、スキル不足を解消するとともに、進化し続けるデジタル技術に後れを取らない知識の維持を目指す取り組みが始まっている。
職業訓練会社Udacityが調査会社Ipsosに依頼して実施した2021年8〜9月のオンライン調査では、欧米企業の管理職2008人と一般職4006人を対象に、デジタルスキルと雇用に関する質問をした。その結果によると、調査対象企業の管理職は在職中の従業員のスキルを高めることを重視しているものの、「従業員のスキル向上に取り組んでいる」と回答した英国の管理職は61%で、フランス、ドイツ、米国などの管理職よりも低かった。
調査で見えた管理職と一般職の“意識のずれ“
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調査対象となった一般職の56%が「成長のために自分のデジタルスキルを高めたい」という意見を示した。一方で62%が「そのためのトレーニング費用を負担するのは会社の責任だ」と回答した。
英国企業のスキル開発に対する考え方は年齢層によって異なる。「スキルトレーニングを提供して従業員のキャリア形成に投資する責任は会社にある」と回答した一般職の割合は、30〜49歳のグループが他の年齢層のグループよりも高かった。
企業が実施している現行のスキルトレーニングについては、管理職と一般職の間で認識にずれがある。調査対象の英国企業における管理職の80%は「自社の研修プログラムは良い成果を挙げている」と回答したのに対し、同じように感じている一般職は39%だった。
Ipsosのシニアバイスプレジデントを務めるクリストファー・メスナー氏によれば、管理職も一般職も「企業には従業員の将来に投資する責任がある」という考えを持っている。今回の調査は、企業にとって「人材育成改革に投資しなければ生き残れない」という警鐘となった。「人材育成への投資は、需要の高い技術職で働きたい従業員にとっても、適切な人材の確保に悩んでいる企業にとっても、有益な取り組みだ」(メスナー氏)
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