iPhoneを“店舗決済端末”に変える「Tap to Pay」とは?:iPhoneを「手放せない道具」に変えるAppleの戦略【前編】
「iPhone」を決済端末に変える「Tap to Pay」が登場し、2022年春にはオンライン決済「Stripe」で利用可能になる見込みだ。そもそもTap to Payとは何なのか。
Appleは2022年2月8日(米国時間)に、スマートフォン「iPhone」を決済端末に変える「Tap to Pay」を発表した。2022年内に米国で展開する。
「Tap to Payとは何か」をざっくりと理解する
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Tap to Payは、店舗などの事業者が「iPhone XS」以降のiPhoneを使って、非接触型のクレジットカードやデビットカードによる支払いを受け付けられるようにする機能だ。これらのカードをiPhoneにかざすと決済が完了する。モバイル決済サービス「Apple Pay」を使った支払いや、一般的なスマートフォンのデジタルウォレット(電子決済用ソフトウェア)による支払いも可能だ。
iPhoneユーザーはTap to Payを利用する際、大手決済ネットワーク(American Express、Discover、Mastercard、Visaなど)のクレジットカードやデビットカードによる決済ができる。事業者がこれらのカードによる支払いを受け付けるには、Tap to Payの機能を組み込んでいる決済アプリケーションが必要になる。
事業者向けにTap to Payを利用可能にする最初の決済アプリケーションは「Stripe」になる見込みだ。Stripeは2022年春にTap to Payを利用可能にする。他の決済アプリケーションも後に続く見通しだと、Appleは説明している。
Tap to Payは、Appleの「Secure Element」を使ってトランザクション(取引)データを暗号化し、処理する。Secure Elementは、プログラミング言語・開発環境「Java」の決済用サブセットである「Java Card」を実行するセキュリティプロセッサだ。電子決済に関する金融業界の要件に準拠している。Apple自身は、何が購入されたか、誰が購入したかを追跡しない。
Appleは、モバイルOS「iOS」向けのSDK(ソフトウェア開発キット)を提供し、決済ネットワークや決済アプリケーション開発者がTap to Payを利用できるようにする計画を発表している。Appleは、2020年に1億ドルで買収した決済アプリケーションベンダーMobeewaveの技術をベースにTap to Payを開発した。AppleのライバルとなるGoogleやSamsung Electronicsも、それぞれのスマートフォンでデジタルウォレットなどの決済アプリケーションを提供している。
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