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年2.7億円のコスト削減を実現するRPA戦略の作り方RPA成功事例

RPA導入に失敗する企業もある一方で、多くの従業員に歓迎され、コストダウンに成功する企業もある。成功企業の事例をぜひ参考にしてほしい。そこには他社でもマネできる何かがあるはずだ。

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 Teleperformanceは全世界500社のカスタマーサービスを代行するアウトソーサーだ。同社はRPA(ロボティックプロセスオートメーション)によって従業員満足度を大幅に改善した。現在では全世界約40万人の同社従業員がRPAプロジェクトに注目している。従業員はロボットに仕事を奪われると恐れるのではなく、競い合ってロボットに最適な役割を考え出そうとしている。

 同社のダニー・カイフェンホーフェン氏(DX:デジタルトランスフォーメーション責任者)は、2011年にITサービスマネジャーとして同社に入社した。「自動化は当社のDNAに組み込まれており、RPAの導入は自然な流れだった」

従業員に歓迎された初のRPAプロジェクトとは?


iStock.com/PhonlamaiPhoto

 UiPath製品を使った最初のRPAプロジェクトは、コスト削減にフォーカスしてIT部門から着手した。2014年に従業員のプロビジョニングとプロビジョニング解除(訳注:入社/退社に伴う処理)を自動化した。それまでこれを行っていたヘルプデスクに空席が発生したが、カイフェンホーフェン氏はこの空席をロボットで埋めるようCEOを説得した。

 この自動化は従業員に歓迎された。プロビジョニングとプロビジョニング解除は頻繁に発生する手間の掛かる仕事だったからだ。「当社が属する業界は人の出入りが多く、従業員のプロビジョニングとプロビジョニング解除を定期的に行う必要があった」

 このプロジェクトは成功を収めた。コストが削減され、精度が向上し、最も退屈な仕事から人間が解放された。「人員が削減されたので、明らかなコストメリットがあった。しかもミスも減った」

 プロビジョニングにミスがあれば、新しい従業員はトレーニングを始めることも、スケジュール通りに業務を始めることもできない。プロビジョニングは人材アウトソーシング事業には不可欠だ。「オランダだけで、1カ月当たり少なくとも4回は不適切なプロビジョニングがあった」(カイフェンホーフェン氏)。こうした不適切な処理は入力ミスによって簡単に起きる。

 ロボットには、営業日外でも採用処理ができるというメリットがある。「ロボットは週末も働き続ける。実質1日長く採用活動ができる」

 カイフェンホーフェン氏がスペイン、ポルトガル、英国を除くヨーロッパ、中東、アフリカ地域のDX責任者に就任したのに合わせて、このRPA戦略が拡大された。

 同社は2021年、カイフェンホーフェン氏が担当する地域でRPAによって年間200万ユーロ(約2億7000万円)相当の運用コストを削減した。

 40万人の従業員の約95%がカスタマーサービスの作業者で、カスタマーセンターとバックオフィスの職務を担っている。カスタマーサービスを担うのは、若くて、キャリアをスタートしたばかりの従業員が多い。そのため、RPAによって仕事の満足度とキャリアの見通しが改善されるとカイフェンホーフェン氏は言う。

 「カスタマーサービスの担当者は最新のITに接している。RPAによるトレーニングによって、これからキャリアを進めていく上で重要になるスキルを早い段階で得ている。以前は電話を受けるだけだったが、今はRPA開発者になるという新しいキャリアパスが提供される」

 同氏は、今後2年以内に全プロジェクトにRPA開発者がいる状況になると予想する。「RPAの使いやすさが向上して、技術者でなくても簡単に使える点が気に入っている」

スタッフのイノベーションに報いる

 同社は、RPAとその能力に対する従業員の意識を高め、より多くの従業員を巻き込もうとしている。同社はカイフェンホーフェン氏が言うところの「ボッタソン」(botathon)、つまりRPA開発に焦点を当てたハッカソンを編成し、従業員のアイデアに賞を授与している。

 「All Ideas Matter」(全てのアイデアは重要)というプロジェクトもある。このプロジェクトは全従業員からアイデアを募る提案箱だ。「RPAとは何かを説明し、全従業員が自部門に関するアイデアを提案する機会を提供する」と同氏は語る。

 最初の1カ月だけで1500件のアイデアが寄せられた。アイデアを幾つか選び、それを思い付いた従業員が独自のbotを開発できるようにした。アイデアを出した従業員は、UiPathの協力を得て4時間の基礎トレーニングを受ける。その後DXチームのメンターの指導を受け、最低限実行可能なbotを2週間で構築できるようになる。

 「RPAの能力を宣伝するだけではなく、何が可能で、実装がいかに容易かを示したかった」

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