健康保険団体のアプリ開発“爆速化”をかなえた「リリース管理自動化」のすごさ:医療業界のDevOps【前編】
医療業界では、COVID-19まん延に伴うオンラインサービスの需要に応えるため、アプリケーション開発を加速させている。米国健康保険団体Healthfirstがモバイルアプリ開発の効率化に向けて導入したツールとは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)のさなかHealthfirstは、オンラインサービス用モバイルアプリケーションの提供開始(リリース)を、2020年の秋から夏に早めることにした。同社は米国ニューヨーク州で健康保険を扱う非営利保険団体だ。このモバイルアプリケーションは「当社がDevOps(開発と運用の融合)の手法で開発した、初めてのアプリケーションだった」と、同社のリリース管理担当ディレクター、アンソニー・モンジョビ氏は振り返る。
モバイルアプリ開発の爆速化を支えた「リリース管理自動化ツール」の実力
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Healthfirstはニューヨーク市域に健康保険加入者150万人を抱えている。モンジョビ氏によればモバイルアプリケーションの開発計画は以前から進んでいた。だがパンデミックのため計画を早め、2020年7月にリリースした。
このモバイルアプリケーションによってHealthfirstは、対面サービスのほとんどを遠隔サービスに置き換えることができた。「誰でも通りがかりに立ち寄れる」(モンジョビ紙)ようにするために、同社は地域に根ざした事務所を構えていた。だが同社は、パンデミックを受けて事務所を全て閉鎖したという。
HealthfirstにおけるDevOpsは、同社が提供する150個のアプリケーションの大半で今も進行中だ。同社に所属する開発者は、アジャイルなワークフローを通じてソフトウェアを開発している。だが内製アプリケーションの大半はモノリシック型(分割されていない1つのモジュールによる構成)で、手作業で毎月1回デプロイされていた。
2019年10月下旬にHealthfirstは、Plutoraのリリース管理自動化ツールを導入した。このツールはモバイルアプリケーションのリリースを早めるのに役立った。モンジョビ氏はこのツールを利用して、アプリケーションのアップデートの自動リリースを3週間周期で監視しながら、各リリースが同社のガバナンス要件を順守していることを確認している。
「Plutora導入前は、ばらばらのリリース管理ツールを使っていて混乱していた」とモンジョビ氏は振り返る。Plutora導入以前、同氏は何がリリースされるかを推測しなければならなかった。リリース1週間前になると、開発者は「まずい、『ServiceNow』(ITサービス管理ツール)に変更記録を作成しなければ」などと言って慌てていたという。「こうした声を聞いて初めて私は、開発者がどのアプリケーションに手を入れているのかを知る状況だった」(モンジョビ氏)
中編は、HealthfirstがDevOps開発プロセスで利用しているツール群について解説する。
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