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「VBAマクロ原則ブロック」一時撤回をMicrosoftに決断させた“真犯人”とは?謎の「VBAマクロ原則ブロック」一時撤回問題【前編】

Microsoftが「Microsoft Office」で進めていたVBAマクロ原則ブロック方針を一時的に撤回したことで、ユーザーやセキュリティ専門家の間に戸惑いが広がっている。一時撤回の背景にある“謎”を追う。

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 Microsoftはオフィススイート「Microsoft Office」で、エンドユーザーがインターネットで入手した「Visual Basic for Applications」(VBA)のマクロ(アプリケーション自動操作機能)の実行を初期設定でブロックする方針を一時的に撤回した。VBAはMicrosoft Officeファイル用のマクロを記述するためのプログラミング言語だ。

 2022年4月提供のMicrosoft Officeバージョン2203で、MicrosoftがこのVBAマクロブロック方針を導入したのは、セキュリティの強化のためだ。Microsoft OfficeのユーザーはVBAマクロの利用に際し、知らないうちにマルウェアをダウンロードする可能性があった。その対策として同社はVBAマクロを原則ブロックし、マルウェアのダウンロードのリスクを減らすことを図っていた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)によるテレワークの普及を受けた取り組みだったとみられる。

 ところがMicrosoftは2022年7月に、このVBAマクロブロック方針を一時的に撤回した。それはなぜなのか。

Microsoftが「VBAマクロ原則ブロック」一時撤回を決断した“本当の理由”

 Microsoft Officeユーザーは、MicrosoftからVBAマクロのブロック方針一時撤回について、事前に情報が提供されなかったことに不満を表している。

 英国のビンス・ハードウィック氏はMicrosoft Officeを利用していた際、ある異変に気付いた。Microsoft OfficeがVBAマクロをブロックする通知ではなく、バージョン2203適用前と同様の、VBAマクロに対するセキュリティ警告を表示したのだ。このことを不審に思い、ハードウィック氏はMicrosoftの技術コミュニティーフォーラムでその理由を質問した。

 ハードウィック氏の質問に対し、Microsoftのアンジェラ・ロバートソン氏は「ユーザーから寄せられたフィードバックに基づき、VBAマクロのブロック方針の撤回を決めた」と説明した。ロバートソン氏は、サブスクリプションオフィススイート「Microsoft 365」のセキュリティ機能を担当する。同氏はユーザーに不便をかけることを謝るとともに、「撤回のアップデート」に取り組んでいると説明した。撤回のアップデートの詳細は不明だ。

 Microsoftがユーザーから受けたというフィードバックの具体的な内容は不明だ。VBAマクロのブロック方針一時撤回の判断が、本当にユーザーのフィードバックに基づいているとすれば、セキュリティ専門家からのフィードバックではない可能性が高い。セキュリティ専門家は「Microsoft Officeユーザーを簡単な手口で攻撃できる」道が絶たれるとみて、VBAマクロのブロックを歓迎していたからだ。


 後編は、VBAマクロのブロック方針一時撤回に関する、セキュリティ専門家の見解を紹介する。

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