メタバースで「土地」を購入する前に考えたい“責任問題”とは?:メタバースを安全に活用する方法【第3回】
メタバースには、主要技術である仮想現実(VR)技術や拡張現実(AR)技術にまつわるセキュリティリスクがある。それは何なのか。リスク回避のヒントも含めて紹介する。
「メタバース」(巨大仮想空間)を技術面で支えるのは、仮想現実(VR)技術と拡張現実(AR)技術だ。メタバースを安全に利用するには、一般的なセキュリティ課題に加え、VR/VR技術にまつわるセキュリティ課題も考慮しなければならない。それは何なのか。主要な11個の課題のうち、4個を紹介する。
1.仮想的な「資産」に対する責任の明確化
併せて読みたいお薦め記事
連載:メタバースを安全に活用する方法
メタバースの「注意点」とは
ユーザーがメタバースで、土地をはじめとした仮想的な資産を購入したり、レンタルしたりする場合、責任についてさまざまな検討事項が生じる。主な検討事項は下記の通りだ。
- 土地への立ち入りを禁止・許可するのは誰か
- 土地の所有者は、立ち入りの権限を与える決定権限を持っているかどうか
- 土地の内部で何が起きているかを把握できるかどうか
- 金融取引や違法な取引がされている可能性はあるかどうか
2.身元確認手段の確立
メタバースでは、ユーザーは自分の身元を証明したり、相手の身元を確認したりすることは難しい。メタバース内でVR/AR技術を用いた遠隔医療を実施する場合、例えば以下を検討する必要がある。
- 患者はどうすれば、話し相手が本当に医療従事者であることが分かるのか
- メタバース運用企業は医師を名乗るユーザーに対して、他ユーザーの診察を許可する前に、医師の資格をどう確認するのか
3.運用企業の信頼性確保
VR/AR技術によってメタバースを作り上げているのは、その運用企業だ。そのためユーザーは、セキュリティに関してメタバース運用企業に依存している。黎明(れいめい)期にメタバースを活用した企業の中には、データ保護をメタバース運用企業に任せざるを得ないことを問題視する向きがある。
4.説明責任の明確化
仮想的な資産に関する詐欺や、アバター(仮想キャラクター)に対するハラスメント(嫌がらせ)がメタバース内で発生した場合、メタバース運用企業に説明責任(アカウンタビリティー)があるのだろうか。その答えは、まだ明確ではない。
第4回は、仮想現実のセキュリティ課題「第2弾」と、拡張現実のセキュリティ課題を取り上げる。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.