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「STEM女子」を増やしたいなら“これ”をすべし 英国教育省の女性元CTOが語るSTEM分野にはびこるジェンダーバイアス【中編】

女子学習者にSTEM分野の仕事に興味を持ってもらうには、教育機関は何をすればよいのか。EdTech分野で活躍する女性の専門家が語る。

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 STEM(科学、技術、工学、数学)分野の仕事における「ジェンダーバイアス」(社会的・文化的性差に対する偏見)に、教育関係者はどのように対処すべきなのか。EdTech(教育とITの融合)ベンダーRMのグローバル事業担当ディレクター、ヘレン・ウォーカー氏による寄稿から、その答えを探る。


女子学習者にSTEM分野への興味を持ってもらうには

 英国政府はかつて「伝統的に、高等教育機関でSTEM科目を選択し、専攻するのは男子学習者の方が多い」と考えていた。STEM分野の仕事を選ぶ女性を増やすためには、教育機関や政府、教育関連企業が一丸となって、女性がSTEM分野の仕事を選ぶメリットを全ての女子学習者に示す必要がある。

 「女性がSTEM分野の職に就くための扉は開かれている」と世間では言われている。だが女性である筆者にはその扉は見えなかった。そのため伝統的ではないルートでIT分野に身を投じた。

 最初に就いた教員の仕事では、ITを使った教育や管理業務、評価業務に情熱を注いだ。幸運なことにこの情熱が、英国教育省のCTO(最高技術責任者)をはじめとする、さまざまな職業に私を導いた。現在は民間企業に身を置いている。

 私は、こうしたキャリア構築の道や機会に恵まれたことに感謝している。その上で私のようにIT関連の職に就いている女性が、職場でエキサイティングに働いている姿を若い女性に見せる必要があると認識している。

 STEM分野に進む人材にダイバーシティー(多様性)を持たせるためには、ターゲットを絞ったボトムアップのアプローチが必要だ。若者が最善のキャリアを選べるように奨励するのであれば、教育関係者は力を合わせて、女子学習者の前に立ちふさがる障壁を打ち破らなければならない。

 障壁を打ち破るための方法の一つに、「国際女性デー」などの男女平等を啓発する日に、ワークショップを開催するといった取り組みがある。こうした取り組みを継続することが重要だ。例えばSTEM分野のキャリアを持つ女性をロールモデルとして教育機関に招き、仕事のやりがいを語ってもらうという方法がある。

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン開発のパイオニアであれ、新しいコンピュータゲームの開発者であれ、サイバーセキュリティアナリストであれ、現代を生きる女性の実体験こそが「STEMは男性のもの」という固定観念を打ち砕く根本的な役割を果たす。

 ITはSTEM分野の面白さを学習者に伝え、教育機関に真のダイバーシティーを根付かせることができる素晴らしい存在だ。教育機関に優れたIT戦略があれば、学習者は就職に必要なデジタルスキルを身に付けるだけではなく、例えば「量子コンピュータ実現のためのソースコードを書く」といった取り組みを通して、ITを活用する面白さを体験できる。


 後編は、STEM分野でキャリアを追求し始めている女性をつなぎとめる方法を紹介する。

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