ビジネスプロセスマネジメント(BPM)の基礎知識と“実利的”なメリット:BPMに取り組むべき「6つのメリット」【前編】
ビジネス改善の手法の一つに「ビジネスプロセスマネジメント」(BPM)がある。ITとビジネスの両側面を取り入れたBPMとは、どのようなものなのか。企業にもたらすメリットを軸に考える。
企業がビジネスプロセス(特定のビジネス目標に関する、一連の作業の流れ)を見直し、競争力を高める手法として、「ビジネスプロセスマネジメント」(BPM:Business Process Management)がある。BPMの取り組みでは、ビジネスプロセスの自動化ツールをはじめとしたITを活用するとともに、企業文化を見直し、全体的にビジネスプロセスの効率化や改善を目指す。BPMの推進には当然ながら投資が必要だが、うまくいけば企業が得られるメリットは大きい。
BPMはビジネスプロセスの見える化を含む。企業はBPMによって非効率なワークフローや無駄なコストを把握し、削減につなげることができる。BPMの取り組みが軌道に乗れば、自社にぴったり合ったシステムの導入がしやすくなり、競争力の向上につながる好循環ができる可能性がある。本連載は、BPMの「6つのメリット」を紹介する。
1.アウトプットの「質」も「量」も効率的に改善
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企業はBPMに取り組むことによって、ビジネスプロセスの効率化と作業品質(同じ作業によって、より付加価値の高い結果を出すこと)の改善を図れる。調査会社Nucleus Researchのリサーチマネジャー、アイザック・グールド氏によると、企業はBPMを通じて、データマネジメントやワークフロー、レポート作成などにおける手作業を自動化したり、合理化したりできる。
BPMの中核的な目的は、特定の人に依存せず、ビジネスプロセスを標準化することだ。標準化によって、意思決定の迅速化や、ヒューマンエラーによるビジネスリスクの低減を実現しやすくなる。各種BPMツールは通常、データの分析機能も備えている。マネジャーはBPMツールを使って従業員の業績を追跡したり、ワークフローのボトルネックを特定したりすることで、ビジネス全体を俯瞰(ふかん)しやすくなる。
企業はビジネスプロセスの自動化、ビジネスプロセスの標準化、従業員の監視の3つを組み合わせれば、生産性だけではなく、製品/サービスといったビジネスの成果物の質と量を改善できる可能性がある。従業員は面倒な手作業から開放されるので、さらなるビジネスプロセス改善や新規事業を考えるための時間の確保が容易になる。
中編は、2つ目の「“あの人がいないと何も進まない”の排除」、3つ目の「機敏性の向上」、4つ目の「顧客体験の改善」に焦点を当てる。
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