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500万人分の医療データを「Azure」で処理 英国医学研究の目的とは?Azureが支える医学研究【前編】

英国の医学研究「Our Future Health」は、500万人以上のボランティアから集めた医療データを「Microsoft Azure」で処理している。どのようなデータを集め、どのような目的で利用しているのか。

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 英国の大規模医学研究「Our Future Health」における主要なITインフラが、Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」だ。Our Future Healthには英国の国民保健サービス(NHS:National Health Service)をはじめとする公共機関や製薬企業、医療機器メーカー、医学会など複数の組織が関与している。

Azureで500万人の医療データを処理 その目的とは?

 Our Future Healthには500万人以上のボランティアが参加し、医療データを提供する見込み。Microsoftの声明によれば、Our Future HealthでMicrosoft Azureが担う役割は「ボランティアから収集した情報を研究用に処理し、医療・研究機関が使用するWebサイトやアプリケーションを運用するためのインフラ」だ。

 ボランティアは、DNA(デオキシリボ核酸)データを分析する目的で少量の血液サンプルを提出。健康とライフスタイルに関するアンケートに回答して活動報告をする。こうして集めたデータは、認知症、がん、糖尿病、心臓病、関節炎などの疾患の早期発見、予防、治療につながる新しい方法を開発する目的で、Our Future Healthの関与組織が共有する。

 Microsoft Azureで稼働するプログラムのデータの格納先は、NHS Digital(NHSでIT活用の司令塔となる組織)が管理する研究データシステム「Trusted Research Environment」(TRE)だ。TREの構築には、クラウドベースのDNAシーケンス(塩基配列)データ分析・管理ツールを提供するITベンダーDNAnexusが関与している。

 プログラム内のデータには、MicrosoftとDNAnexusはアクセスできないようになっているという。TREは、英国におけるデータ保護の法律と、データ保護に関する英国政府の方針に従って、英国内で匿名化と暗号化をしてデータを保存し、セキュリティを確保している。


 後編は、Our Future Healthの収集データの詳細な使途や、将来展望を解説する。

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