セキュリティの巨人NortonとAvastの“大合併”はなぜ実現したのか:NortonLifeLock×Avastの「今」【後編】
NortonLifeLockとAvast Softwareの合併で生まれたGen Digital。その合併は決してスムーズではなかった。そもそも合併の背景には、何があったのか。合併までに両社が直面した、ある「ハードル」とは。
消費者向けセキュリティ製品を提供するNortonLifeLockが競合ベンダーAvast Softwareと合併し、Gen Digital(以下、Gen)として生まれ変わった。セキュリティ業界に衝撃を走らせたこの合併の背景には、何があったのか。
Genが生まれたのは「競合」のおかげだった?
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連載:NortonLifeLock×Avastの「今」
Avast Softwareを巡る最近の動き
2021年にNortonLifeLockがAvast Softwareの合併を発表したとき、セキュリティ専門家はNortonLifeLockの狙いがユーザー獲得の拡大だとみた。Omdia(メディア・調査会社Informaの技術調査部門である、Informa Techが運営する調査ブランド)のマネージングプリンシパルアナリストを務めるエリック・パリゾ氏は当時、米TechTargetの取材に対し、NortonLifeLockの成長が鈍化していると指摘。Avast Softwareとの合併によって、特に欧州市場で新たにユーザーを獲得できるようになると述べた。
米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のプリンシパルアナリスト、デーブ・グルーバー氏は当時、NortonLifeLockとAvast Softwareの合併を後押しした要因として、消費者向けセキュリティ市場での競争激化を挙げた。グルーバー氏によると、特にMicrosoftの無料セキュリティツール「Microsoft Defenderウイルス対策」(Microsoft Defender Antivirus)が、セキュリティベンダーにとって脅威となっていた。
NortonLifeLockによるAvast Softwareの吸収合併は、英国の競争・市場庁(CMA:Competition and Markets Authority)による調査の対象になった。英国の消費者向けセキュリティ市場での競争を著しく阻害する可能性があるとの懸念からだ。
CMAは最終的にNortonLifeLockによるAvast Softwareの吸収合併を承認した。競合ベンダーが複数あり、合併後も公正な競争が確保されると判断した形だ。CMAは競合ベンダーとして、Bitdefender、ESET、F-Secure、Kaspersky Lab、Malwarebytes、Nordsec(Nord Securityの名称で事業展開)、トレンドマイクロなどを挙げる。
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