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プロゴルフのPGAツアーは「CDP」を使わずにデータ×手作業でファンの心をつかむPGAツアー幹部が語るIT戦略【後編】

米国男子プロゴルフの「PGAツアー」はファンに関するどのようなデータを活用し、どう生かしているのか。PGAツアーのファンエンゲージメント担当者が、データ活用の実態を語る。

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 プロゴルフ競技団体のPGA TOUR(PGAツアー)は、ファンを維持、獲得し続けるためにデータを生かしている。PGAツアーのファンエンゲージメント担当バイスプレジデントのトラヴィス・トレンバス氏に、データ活用の戦略を聞いた。


「CDP」を使わないPGAツアーのデータ活用策

―― 顧客データ活用の状況をお聞かせください。

トレンバス氏 私たちは、目指す方向性について長い時間をかけて考えてきた。ようやくその方向性に従って動き出したところだ。具体的にはAmazon Web Services(AWS)のクラウドインフラを利用し、そこでSnowflake製品によるデータレイクを構築している。データサイエンティストは、データレイクにさまざまなチャネルにおけるファンデータを取り込み、裏でプロファイルをつなぎ合わせている。

 データレイクには、さまざまなソースから非常に豊富なファンデータを保有している。チケット購入者、デジタルプラットフォームへの登録者、ニュースレターへの登録者、公式サイトで提供するゲーム「PGA Tour Fantasy Golf」のプレイヤーのデータなどだ。

―― 次のステップは「CDP」(顧客データプラットフォーム)なのでしょうか。

トレンバス氏 私たちはCDPを使っていない。現時点では、Snowflakeベースのデータレイクでデータをセグメント化(グループ分け)し、適切なツールに手動でデータをプッシュしている。具体的にはLiveRampのデータ接続ツールにセグメント化したデータを送り、広告のターゲティングを手動で実行している。自然な流れとして、次はCDPを導入することになると考えている。

―― CDPが実現することを既に実現しているにもかかわらず、CDPを導入するということは、CDPの利点は自動化なのでしょうか。

トレンバス氏 その通りだ。私たちは基本的にデータ活用に必要な作業を全て自前でやっている。それをする力はある。それでもデータサイエンティストが、より深い分析やセグメント化に集中する時間を確保できるならば、作業の自動化を進めた方がよい。

―― 新しいファンを獲得するために、導入を検討している技術は何でしょうか。

トレンバス氏 DFS(デイリーファンタジースポーツ:実在チームを使ったスポーツシミュレーションゲーム)やベッティング(賭け事)、NFT(非代替性トークン)などだ。ファン層を拡大・多様化させ、若いファンを取り込むための方法として、こうした新たなチャンスがたくさんある。特にベッティングは、大きな可能性を秘めている。

 ファンがスポーツを消費する方法について、必然的な過渡期に差し掛かっている。年配の、裕福な、ビジネス上の意思決定者といった従来のゴルフファンは、既存のテレビを通じて増え続けている。一方で若い人は、以前ほどはテレビを見なくなった。私たちは、適切なコンテンツを提供することで、若いファンを引き付けることに注力している。

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