ロンドン地下鉄はもう圏外じゃない 「5G」と「2000キロの光ファイバー」整備の裏側:進み始めたロンドン地下鉄の5G整備【前編】
電波が届かないことで知られるロンドン地下鉄が、変わりつつある。ロンドン市長はロンドン地下鉄全域へのモバイルネットワーク整備を掲げており、着々と利用可能エリアが広がっている。
英国の通信事業者VMED O2 UK(Virgin Media O2の名称で事業展開)は2023 年3月、ロンドン地下鉄(London Underground)の一部区間で、「4G」(第4世代移動通信システム)および「5G」(第5世代移動通信システム)サービスを開始した。
ロンドン交通局(TfL)が運営するロンドン地下鉄は、1日当たり数百万人が利用する公共交通機関だ。一方で、ロンドン地下鉄は通信インフラが整っておらず、圏外エリアが広いことでも知られていた。しかし、こうした状況は変わりつつある。
急ピッチで拡大する「4G」「5G」のインフラ整備
併せて読みたいお薦め記事
ロンドン地下鉄 5G整備の軌跡
ロンドンは地下鉄へのモバイルネットワーク整備に意欲的になっている。2020年に、ロンドン東部とロンドン北西部を結ぶジュビリー線(Jubilee Line)の東半分のエリアで4Gが整備された。2021年にはロンドンのサディク・カーン市長が、通信インフラ構築を手掛けるBAI Communicationsとの契約により、ロンドン地下鉄の利用客が4Gおよび5Gをどこでも利用できるようにすると発表していた。
ロンドンとBAI Communicationsは20年間にわたる契約を結んでおり、ロンドン全域でモバイルネットワーク用のバックボーン(基幹通信網)を整備する。バックボーンに必要な光ファイバーケーブルの長さは2000キロを超え、その全てが鉄道の運行時間外にトンネルや駅に設置される。
ジュビリー線以外でのモバイルネットワークの整備は、Virgin Media O2によれば、ロンドン西部から市街地を結ぶセントラル線(Central Line)で進んでいる。セントラル線のクイーンズウェイ(Queensway)駅からホランドパーク(Holland Park)駅間で、4Gおよび5Gを利用客に提供している。
Virgin Media O2は、BAI CommunicationsおよびTfLと緊密に協力し、2023年3月時点から数週間から数カ月の間に、地下鉄の大部分にモバイルネットワークを整備する。各駅の改札口からプラットホーム、列車、トンネルに至るまで、乗客が旅のあらゆる段階で、モバイルネットワークに接続できるようにする。
2024年末までには、ロンドン地下鉄の全駅で4Gが利用可能になる。BAI Communicationsのインフラが整備されていれば、駅やトンネルの各所で5Gにも接続できるようになる計画だ。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.