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アナログ通信システムをIP化 英国際鉄道HS1が得たメリットとは?鉄道に学ぶプロジェクト成功の秘訣【前編】

英国の高速鉄道「High Speed 1」(HS1)が1年をかけ、通信システムのIP化プロジェクトを成功させた。乗客が24時間いるため、同プロジェクトではいかに障害を起こさないかが重要だった。

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 英国の鉄道プロジェクトといえば、時速360キロで運転する高速鉄道「High Speed 2」(HS2)の計画に期待が集まっている。HS2に比べるとあまり話題になっていないが、高速鉄道のプロジェクトとしては、「High Speed 1」(HS1)用通信システムの刷新プロジェクトもある。

 HS1はHS2の前身と言える高速鉄道で、2007年に全線開業した。HS1はロンドンと英仏海峡トンネルを結んでいる。HS1の通信システム刷新プロジェクトは、乗客にほとんど混乱を与えず完了した。

HS1の4駅の通信システムを刷新

 HS1の通信システム刷新プロジェクトは、英国のネットワークベンダーであるTelent Technology Services(Telenet)が主導した。目的は、通信のIP化だ。

 駅舎間や、駅舎と鉄道との通信には銅線でアナログ信号を伝送する通信システムを利用し、駅員同士がコミュニケーションを取ることもある。アナログ信号による通信システムはデジタル通信に比べて、信号の劣化しやすさやエラー訂正の困難さから通信が不安定になりやすい。そのため通信の信頼性に課題が生じることがある。

 通信プロトコルにIPを用いる通信システムに刷新できれば、通信の信頼性を高められる。IPに準拠したITシステムを導入しやすくなる利点もある。

 今回のプロジェクトは、セントパンクラス国際駅(St Pancras International)、ストラトフォード国際駅(Stratford International)、エブスフリート国際駅(Ebbsfleet International)、アシュフォード国際駅(Ashford International)が利用している通信システムをIP化した。

 プロジェクトの時間配分では、設計と計画に費やされた時間と、現場作業の時間は同程度だった。計画を綿密に練ったことが、想定外の障害を防ぐために有効だったという。

 HS1のプログラムおよびスポンサーシップの責任者であるオーウェン・ビリル氏は「4つの駅全てにおいて、乗客への影響を抑えたリニューアルを設計し、実施することが、全体的な成功の鍵を握っていた」と述べる。


 後編は、HS1の刷新プロジェクトで導入したITシステムの内容やプロジェクト体制を紹介する。

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