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どんなに嫌いでも「AIバッシングに乗ってはいけない」のはなぜ?AI規制の訴えと米政府の反応【中編】

米国の非営利団体は、米政府に対してAI技術の規制を強化するよう求めた。この主張に賛同しない人の中には、過度な規制強化は“逆効果”だと考える人がいるという。それはなぜなのか。

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人工知能 | データ分析


 人工知能(AI)技術が急速に発達している。その動きを受けて、AI技術のリスク軽減を目指す非営利団体Future of Life Instituteは、AI技術の規制強化を訴える公開書簡を2023年3月に発表した。この書簡に対して、識者の見解は分かれている。中には規制強化が、AI技術の正確な理解を妨げる可能性を指摘する声もあるという。

AI技術の「規制し過ぎ」が招く“逆効果”とは

 Future of Life Instituteの公開書簡は「高度なAIモデルが、前例のない実存的リスクをもたらす」と主張する。いずれ人を追い越し、出し抜き、時代遅れにし、人に取って代わる可能性のある「人以外の知性」の開発を警告するものだ。これに対してCenter for Data Innovationは公式ブログのエントリ(投稿)で「書簡の主張には根拠がない」との意見を示した。Center for Data Innovationは、シンクタンクInformation Technology and Innovation Foundation(ITIF)の一部門だ。

 公開書簡が示すシナリオは「AIモデルの現実から、あまりにも懸け離れている」と、Center for Data Innovationのシニア政策アナリストであるホダン・オマール氏は主張。「AI技術の誇大宣伝と不安を助長するだけだ」と語る。書簡は「AIツールを安全にするための政策議論」を「AIツールを停止させるための政策議論」にすり替えるだけだというのが、オマール氏の主張だ。同氏は書簡を「有益ではなく、現実的でもない」と酷評する。

 2023年3月の定例記者会見で米政府は、Future of Life Instituteの公開書簡に関する質問に答えた。その会見において「書簡が提起した数々の課題は『Blueprint for an AI Bill of Rights』で対処している」との見解を示した。米政府が2022年に公開したBlueprint for an AI Bill of Rightsは、AI技術の設計、利用、導入の指針を示す原則をまとめた技術文書だ。

 米政府のカリーン・ジャンピエール報道官によると、AI技術関連の危険性と将来性に対し、米政府は一貫した姿勢を確保するための手続きを進めている。具体的には、適切な慎重さと安全性を最優先に置いた上で、AI技術の発展を後押しするという。


 次回は、AI技術に関する米政府の動向を紹介する。

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