学校が本気で悩む「ChatGPTにやらせた宿題をどう評価するか問題」:「生成AI」は教育をどう変えるのか【第3回】
「生成AI」ツールが教育に及ぼす影響で無視できないのが、宿題などの家庭学習への影響だ。教員の目が届きにくい家庭学習で、学習者が生成AIツールを適切に活用できるようにするには、何が必要なのか。
一般家庭の間で「ジェネレーティブAI」(生成AI:テキストや画像などを自動生成する人工知能技術)ツールの利用が広がっている。こうした状況を踏まえて英国教育省(DfE:Department for Education)は、教員の目が届きにくい、宿題などの家庭学習に対する生成AIツールの影響に目を向け始めた。家庭学習における従来の方針を見直すように、同省は教育機関に促している。具体的には、どのような見直しを求めているのか。
「ChatGPTにやらせた宿題」をしれっと提出する学習者――どう対処すればいい?
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英国教育省が家庭学習に目を向ける背景には、生成AIツールを使った不正行為の懸念がある。生成AIベンダーOpenAIの「ChatGPT」などの生成AIツールを活用して自動生成した成果物を、学習者が「自身が作成した」と偽って教育機関に提出する可能性がある、といった懸念だ。
生成AIツールの利用が適切だと見なされる状況でも、教員や学習者は生成AIツールが作り出した成果物が、適切で正確なものかどうかを判断する知識・スキルを身に付ける必要がある。教員には、学習者が生成AIツールを使って有害なコンテンツや不適切なコンテンツを生成したり、こうしたコンテンツにアクセスしたりしないように指導することが欠かせない。
教育機関は学習者に、生成AIツールに関する以下のリスクを伝える必要がある。それによって、生成AIツールの安全かつ適切な使い方を含めた、IT利用に関する既存の指導を強化できる。
- 機能の限界
- 出力結果の信頼性
- AIモデルの教師データに内在するバイアス(偏り)
- インターネットで情報が整理およびランク付けされる方法
- 有害あるいは誤解を招くコンテンツから身を守る方法
次回は教育機関の生成AIツール活用を支援する、英国教育省の取り組みを紹介する。
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