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アクセンチュアが指摘する「生成AI」の生かし方とDow Chemicalの先駆例生成AI(ジェネレーティブAI)とビジネス【後編】

生成AIへの関心が高まる中、企業はこれからどのような技術に着目し、それをビジネスにどう取り入れればいいのか。ITコンサルティング企業Accentureが公開したレポートや、化学メーカーの例を基にして探る。

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 ITコンサルティング企業Accenture(アクセンチュア)は2023年3月、ビジネスや生活に変化をもたらす先端技術のトレンドを分析する年次調査レポート「Accenture Technology Vision 2023」を公開した。同レポートは、全世界の企業の経営層約5000人を対象に実施した調査に基づいている。

 Accentureがビジネスにおいて重要になるとみている技術の一つが、テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)だ。だが重要なのはそれだけではない。化学メーカーの事例を踏まえて紹介する。

AI技術などの“先端技術”を取り入れた先行事例

 Accenture Technology Vision 2023によると、企業が生成AIを使うことでメリットを得るには、適切なデータ戦略の立案が必要だ。データの構造や内容を理解することで、生成AIの可能性を最大限に引き出すことができるからだ。「データのサイロ化(データ同士が連携せずに孤立した状態になること)をなくし、データ基盤を最新化する必要がある」と同レポートは指摘する。調査では、シニアエクゼクティブの90%が、「データの透明性が重要な差別化要因になりつつある」と答えた。

 レポートの説明会では、化学メーカーDow Chemicalで最高情報責任者(CIO)兼最高デジタル責任者(CDO)を務めるメラニー・カルマー氏が、デジタルと現実との融合がビジネスにもたらす影響について話した。それによると、同社のデジタル戦略は、顧客に優れたサービスを提供すること、従業員の仕事をより直感的にすること、作業速度を上げることを軸にしているという。

 Dow Chemicalは製造現場の業務や、それによって生じる二酸化炭素(CO2)排出の影響をデジタル化する。ITで推進するプロセスと業務プロセスとの境界線をなくすことで、サステナビリティの課題に力を注いでいるという。カルマー氏は「目的は自社だけのためではなく全世界のためだ」と話す。

 その他、Dow Chemicalは製品に対する顧客レビューをAI技術で分析する取り組みを進めている。顧客レビューの傾向を見極め、製品に関わるパートナー企業にフィードバックできるようにしている。カルマー氏は、マットレスに対する顧客レビューをAI技術で分析した事例を紹介した。同社は、顧客レビューの傾向を迅速に見極め、マットレスの開発で協業する企業向けに新しい原材料を開発する。製品に改良が必要になった場合、その原材料の改良が重要になるからだ。

 カルマー氏は仮想空間「メタバース」の活用例も紹介した。同社は例えばメンテナンス作業の手順といったテーマについて、従業員向けのトレーニングをメタバースで実施しているという。

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