「有色人種のITエンジニア」が直面する“不都合な真実”:IT業界でD&Iが進まない理由【第2回】
他業界と同様に、IT業界でもD&Iはなかなか進まない。人種差別はどのような形で現れているのか。専門家が紹介する“人種差別の具体例”とは。
IT業界でダイバーシティー&インクルージョン(D&I:人材の多様性を広げ、それを受容する文化を形成すること)はあまり進んでいない。IT業界の経営層の間では、この課題を解消しようとする動きが広がっている。だが人事アドバイザリー企業HR rewiredの創設者兼マネージングディレクターであるシェリーン・ダニエルズ氏は、「問題の解消に向けた道のりは長い」と語る。根本的な問題は何なのか。
誰も語りたがらない、IT業界の人種差別の“具体例”
併せて読みたいお薦め記事
連載:IT業界でD&Iが進まない理由
業界が取り組むD&I
- 多様性、公平性、包摂性「DEI」の“押し付け”がむしろ分断を広げてしまう現実
- 「多様性のある人材採用」を口先だけにしないために“本当に大切なこと”
- 黒人技術者がほぼいない 「多様性」からは遠いIT業界の“悲しい現実”
人種差別がどのように現れているかについて、ダニエルズ氏は具体的な例を挙げる。ある通信事業者の黒人従業員は、「なぜリーダーの立場に就くのに苦労しているのか」と質問を受けた時、「私たちの立場について何か質問があるならば、採用に責任を持つ上司やリーダーに聞くべきだ」と答えたという。
黒人従業員の発言の意図を代弁するならこういうことだ。「黒人従業員の立場を決定しているのは、黒人従業員自身ではない。黒人は白人とは異なり、何度も昇進を希望しなければ昇進できない。だから私たち黒人従業員が昇進できない理由については、採用に責任を持つ上司やリーダーに聞くべきだ」
IT業界は他業界と同じく、人種差別について語りたがらないが、「解決に向けて取り組むべき問題だ」とダニエルズ氏は語る。
第3回は「カルチャーフィット」(組織の価値観や理念に対する適応性)の問題について、IT人材採用コンサルタント企業Templeton and Partnersのマーケティングディレクターであるエイミー・トレジャー氏の見解を紹介する。
Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術
米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.