医療データの「NFT化」が臨床研究で期待されるのはなぜ?:医療情報管理にNFTを利用するメリット【中編】
NFT(非代替性トークン)にした医療情報は、研究をはじめ、医療分野のさまざまな用途に応用できる可能性がある。ブロックチェーンの特性が、医療の領域でどのように役立つのか。専門家の見解は。
代替できないデジタルデータである「NFT」(Non Fungible Token:非代替性トークン)の仕組みを利用すると、患者が自身のヘルスケアデータを管理しやすくなり、臨床研究におけるデータの透明性向上にも役立つ――。シンガポールの公共医療機関Singapore Health Services(SingHealth)は、このような期待を寄せている。
既存の一般的なNFTマーケットプレース(NFTの取引サイト)と、ヘルスケアデータ専用のNFTは、何が違うのか。ヘルスケアデータ専用の方は、データを一般公開できないように制限する。
医療データの「NFT化」、臨床研究における利点は
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連載:医療情報管理にNFTを利用するメリット
NFT(非代替性トークン)の光と影
患者が自身のヘルスケアデータを医療機関と共有する必要があるときは、患者が医療機関にデータへのアクセスを許可する必要がある。その際には、個人向けヘルスケアアプリケーションや医療機関のデータベースに保存されたデータが、不正アクセスを受けたり不正に利用されたりしないよう対策が必要だ。
研究者にとっては、ヘルスケアデータをNFT化して患者に共有してもらうことで、臨床研究データの透明性と正確性を保証することができる。NFTの作成に使う、分散型台帳の技術であるブロックチェーンは、「追跡可能で改変ができない」という性質を持っているからだ。研究者は自分たちの研究に使うデータの真正性を確認でき、データの完全性を高め、より良い研究結果につなげることができる。
SingHealthの臨床医チームによると、NFTは他の医療分野にも応用できる。例えば医薬品なら、薬剤に関するあらゆる情報をブロックチェーンの台帳に記録することで、医薬品の製造から配達に至るまでの全行程の追跡ができる。これは正規品でない医薬品を特定する助けになると同時に、医療機関や患者による誤用を防ぐこともできる。
後編は、患者が自身のデータを自律的に管理することの意義について解説する。
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