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野村総合研究所(NRI)が指摘する「生成AI」導入時の“3つの課題”とは:NEWS
生成AIの市場規模は拡大しており、国内でも生成AIを利用したビジネスが既に幾つか登場している。しかし生成AIは新しい技術であり、導入時には課題がある。
テキストや画像などを自動生成する人工知能(AI)技術「ジェネレーティブAI」(生成AI)の活用が広がっている。野村総合研究所(NRI)は2023年8月25日、「生成AIはビジネスをどう変えるのか」と題したメディア向け説明会を開催した。生成AIについて「さまざまなコンテンツを生成する学習能力のあるAIだ」と、野村総合研究所のエキスパート研究員である鷺森 崇氏は紹介する。
生成AIの市場は拡大しており、調査会社Market.Usの予測によれば、2022年で約106億ドルだった生成AIの市場規模は2032年には約1519億ドルに拡大する。すでに国内の企業もビジネスに生成AIを利用し始めているが、鷺森氏は生成AIを企業が利用する際には3つの課題があると指摘する。
生成AIに潜む“3つの課題”とは?
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鷺森氏が語った、生成AI導入の際の課題は以下の3つだ。
- 著作権
- 著作物を含んだデータでの学習や、それによって開発したAIモデルの配布が問題視される。Webから収集した学習データには著作物や有害コンテンツも含まれている可能性があるため、生成AIを商用利用すると、知らずに著作権を侵害する恐れがある。
- 幻覚(ハルシネーション)
- 生成AIは事実と異なる回答を繰り返すことがある。その理由は学習データの不足や誤りなどがあるが、回答の情報源を公開しない生成AIもあるため、人間によるファクトチェックが必要になる。
- ディープフェイク(本物の人物を偽装する偽情報)の拡散による社会の混乱
- 生成AIにより悪意ある偽情報が容易に作成できるようになった。例えばロシア・ウクライナ戦争において、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)「Facebook」上でウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が同国の兵士や市民に、ロシア側への投降を呼び掛けるフェイク動画が投稿された。
こうした生成AI導入時の課題への対策として鷺森氏は「まずは生成AIを利用する社員にこれらの課題を周知・教育することが大事だ」と述べる。他にも機密情報を生成AIにアップロードするといった、望ましくない利用方法をシステム的に制御する必要がある。
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