作家たちが“LLMの破壊”よりもOpenAIやGoogleに期待するものとは?:生成AIベンダーと作家たちの戦い【第1回】
全米作家協会は書簡を公開し、生成AIのベンダーにあることを求めた。焦点になっているのは著作物の利用についてだ。何が起きているのか。
「ChatGPT」「Bard」「Dall-E」といった、人工知能(AI)技術を使ってテキストや画像を自動生成する「ジェネレーティブAI」(生成AI)システムが公開された当初の高揚感は、徐々に薄れている。
一方で、生成AIの影響を受けるクリエイターの間では、新たな恐怖が芽生えている。全米作家協会(Authors Guild)は2023年7月18日(現地時間)、マーガレット・アトウッド氏、エロイザ・ジェームズ氏、レベッカ・ウェルズ氏などの有名作家が署名した書簡を公開した。
「著作物の利用」に関して作家が動いた
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全米作家協会の書簡は、生成AIの訓練にクリエイターの作品を使う方法を軌道修正するよう、OpenAIやStability AI、Alphabet(Googleの親会社)といった生成AI関連の主要ベンダーに求めるものだった。作家たちは生成AIベンダーの経営幹部に以下を求め、作家が被る損害を緩和するよう呼び掛けている。
- 生成AIの訓練で著作物を使用する前に作家の許可を得ること
- 訓練に使用した著作物の作家に補償すること
- 生成AIが出力する結果の利益を作家に公平に補償すること
全米作家協会の代表を務めるメアリー・ラゼンバーガー氏は、「私たちは生成AIベンダーに、既存の大規模言語モデル(LLM)を破棄し、ゼロの状態からやり直すことを期待しているわけではない」と述べる。その理由は「生成AIベンダーがそうしないことも、裁判所がそうさせるつもりがないことも分かっているから」だという。
次回は、全米作家協会が状況を打開するためにどのような手段に打って出るのかを伝える。
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