これなら分かる「PoC」で失敗しない“6つの原則”:PoC(概念実証)の基本ステップ【後編】
新しいアイデアやプロジェクトの実現可能性を検証するに当たって、PoC(概念実証)には押さえておくべき6つのポイントがある。PoC全体の流れと、必要なステップを理解しよう。
新しいアイデアやプロジェクトを実行する前に、企業は一般的にPoC(概念実証)を実施する。その目的は、「成功に必要な基準」を明確にして、実現可能性を判断することだ。
PoCの提案書は一定の形式にのっとって作成するものだ。プロジェクトマネジャーがアイデアやプロジェクトの事業価値を評価するのに必要な情報を網羅するために、PoC実施時に押さえておくべき6つのポイントと、ベンダー各社が公開しているPoCのガイドラインを紹介する。
PoC(概念実証)の「全体の流れ」は
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連載:PoC(概念実証)の基本ステップ
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PoCは、以下の6つの基本的なステップで成り立っている。
- アイデアを定義し、それによって達成したいことを明確にする
- 達成したいことの例としては、目的や範囲の他、必要な人材や予算などのリソースがある。
- 意思決定と製品開発プロセスに関わるチームおよび利害関係者を特定し、組織化する
- 具体的な利用例を作成し、成功基準の設定と測定をする
- 設計、展開計画、成功基準を検証するために、アイデアを実運用環境でテストする
- ポジティブシナリオとネガティブシナリオの両方でテストケースを実行し、耐久性を検証する
- テストで得られた結果を文書化する。
- チームおよび利害関係者とテスト結果を評価する
- 結果を比較し、定義した成功基準を満たしたかどうかを確認する。
インターネットで閲覧できるPoCの資料集
以下に、インターネットで閲覧できるPoCのノウハウや資料を示す(編注:いずれも英語)。
資料1.Intelのガイド
Intelは、画像認識や自然言語処理のようなAI(人工知能)技術のPoCを成功に導くためのガイド「5 Steps to an AI Proof of Content」というPDF資料を提供している。企業がAI技術や自動化技術を導入する中、この資料はさまざまなAIソフトウェア(AI技術を活用したソフトウェア)の機能を確認し、自社に適するかどうかを判断するのに役立つ可能性がある。
資料2.Designliのブログエントリ
ソフトウェアベンダーDesignliは公式ブログのエントリ(投稿)「Proof of Concept: 5 Steps for Successful Software Development」で、ソフトウェア開発を成功させるためのPoCガイドラインを、5つのステップに分けて解説している。同社が重視するステップは以下の通りだ。
- ニーズを証明する
- 問題点を解決策にマッピングしてフィードバックを得る
- 製品・サービスのプロトタイプを作成する
- テストする
- MVP(Minimum Viable Product:実用最小限の製品)を作成する
同社のアドバイスは、プロトタイプ作成とMVP作成を含むという点で、従来のPoCの常識を覆すものだと言える。
資料3.CERNの資料
欧州合同原子核研究機構(CERN)は、2017年5月から2022年4月までに実施していた粒子加速器の研究開発プロジェクト「Accelerator Research and Innovation for European Science and Society」(ARIES)のPoCに関するPDF資料を公開している。これは他の業種も参考にできる、簡潔なテンプレートの好例だ。ARIESのPDF資料は6つの基準を提示しており、それぞれに何が必要かを説明するのに役立つ質問が注釈として付いている。
資料4.マービン・ジョージ氏のガイド
技術アドバイザーのマービン・ジョージ氏は、LinkedInの同名SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)で、「6 Steps to Make your Software Proof of Concept a Success」という記事を公開している。この記事はPoCを成功に導く6つの構成要素として以下を挙げ、それぞれのポイントを解説している。
- チームリーダーの特定
- 成功の定義
- 予測値の調整
- 自分と相手の双方にメリットがある取引関係
- 各ステップの進め方の明確化
- フィードバックの収集、学習、反映
資料5.Motley Foolのガイド
投資アドバイザリー企業Motley Foolは、同社の個人金融サービス「The Ascent」の公式ブログで「Your Complete Guide to Proof of Concept」というガイドを公開中だ。「PoCの書き方」の章では、投資家にアイデアを提示する前にプロジェクトチームが踏むべき基本的なステップを解説している。同記事が示す基本的なステップは、以下の5つだ。
- ニーズの実証
- 解決策の考案
- プロトタイプの作成とテスト
- フィードバックの取得
- コンセプトの提示による承認
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