“インターネットの進化”「Web 3.0」とはつまり何なのか?:Web3が再注目される予感【前編】
「Web 3.0」は、インターネットに対する考え方や利用方法に変化をもたらす存在だ。Web 3.0とは何かを理解するには、幾つか基本を押さえておく必要がある。Web 3.0に関する市場動向と併せて解説する。
複数のコンピュータで情報の正確性を確保する技術「ブロックチェーン」をベースとした、非中央集権型の次世代インターネット「Web 3.0」(「Web3」と表記することもある)。最近では、被災地支援にブロックチェーンを活用する動きもあり、寄付金の透明性確保やスムーズな送金の実現といったメリットが注目された。
そうしたWeb 3.0のメリットや仕組みについて断片的に知ることは難しいことではないが、Web 3.0とは何かを理解するには、幾つか基本的な点を押さえておく必要がある。Web3の市場動向と併せて基本を解説する。
「Web 3.0」とはつまり何なのか? 押さえるべき基本
Web 3.0とは、インターネットを通じてWebページを相互に結び付ける「World Wide Web」(WWW)の第3世代を指す。明確な定義は存在しないが、特徴としてブロックチェーンや分散型アプリケーション、AI(人工知能)技術などが深く関連している。
オープンソースソフトウェアの発展と普及を促進する非営利団体Linux Foundationのデビッド・ボズウェル氏(コミュニティーアーキテクチャ担当シニアディレクター)によると、Web 3.0は分散型ツールを利用してインターネット上に権利を分散させる。「つまり、Web 2.0における集約型モデルの破壊だ」とボズウェル氏は説明する。
ブロックチェーンをベースにした技術には、以下のようなものがある。
- 暗号資産(仮想通貨)ビットコイン
- 「NFT」(Non Fungible Token:非代替性トークン)
- NFTは「代替できないデジタルデータ」であり、デジタル世界では偽造不可な鑑定書や所有証明書として使われている
- 「スマートコントラクト」
- 人の手を介さず、一定条件下で取引を自動実行する仕組み
- 「分散型ID」(DID)
- ブロックチェーンなどの分散型台帳技術を用いて生成される一意の識別子。企業や政府といった特定の組織に依存せずに、個人のアイデンティティー(ID)を管理できる
- 「Ethereum」(イーサリアム)
- ブロックチェーンをベースにした分散型プラットフォーム。仮想通貨「Ether」(イーサ)を使える。NFTの取引をしたり、スマートコントラクトを利用したりできる
これらはWeb3に不可欠な技術だが、この技術の有無でWeb3と“それ以前のインターネット”が区別されるわけではない。これらに加えて、AI技術も重要な要素となる。
Web 3.0を取り巻く意識
ブロックチェーン開発企業StarkWareは、2022年3月に仮想通貨の意識調査結果を発表した。調査は米国人2000人を対象に、委託先の調査会社OnePollが実施した。回答者の53%は「仮想通貨が金融の未来になる」と考えており、25〜34歳の回答者に限るとこの数字は68%まで上昇した。
調査では、エネルギー消費量や電子廃棄物の増加といった、Web3が環境に与える影響への意識も明らかになった。回答者のうち34%は、「仮想通貨のカーボンフットプリント(活動を通じて排出される二酸化炭素量)を削減することが重要だ」と考えており、この数字は35〜44歳の回答者では39%に、25〜34歳の回答者では49%にそれぞれ上昇していた。
中編は、「Web3」のサステナビリティへの影響について詳しく解説する。
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