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いまさら聞けない「物理サーバ集約」と「サーバ仮想化」の違いとは?サーバ統合を進める2つの方法【前編】

物理サーバの利用効率を高めて運用負荷軽減やコスト削減をするための方法に、サーバ統合がある。サーバ統合のための主な2つの方法と、それぞれのメリット、デメリットを説明する。

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 サーバ統合はワークロード(アプリケーション)をより少ない台数の物理サーバに集約することで、データセンター内の物理サーバ数を削減することだ。複数のアプリケーションを実行できるようにアプリケーションやサーバを構成し直すことで、サーバの利用効率を改善したり、ハードウェアのメンテナンスコストを削減したりするメリットが見込める。

 アプリケーションのインフラを見直してサーバ統合を進める際は、何を検討すべきなのか。サーバ統合の主な手法として「物理サーバ集約」と「仮想化」の違いを踏まえつつ、自社のニーズに沿ったサーバ統合計画を立てるためのポイントを説明する。

「物理サーバ集約」と「サーバ仮想化」を比較

 サーバの統合には主に2つの方法がある。複数のサーバで実行している別々のアプリケーションを1台の物理サーバにまとめる方法と、仮想化を使ってアプリケーションを仮想マシン(VM)で実行する方法だ。仮想化を利用すると物理サーバで複数のVMを実行できるようになるため、結果として、データセンターで稼働するサーバの数を削減できる。仮想化をサーバ統合計画に組み込めば、物理サーバの利用効率を向上させ、データセンターの消費電力とハードウェアコストを削減できる。

 2つの方法には、それぞれメリットとデメリットがある。

1.複数のアプリケーションを集約して1台のサーバに移行する

 1つ目は、複数のアプリケーションを単純に1台のサーバに統合する方法だ。主なメリットは、サーバ仮想化と比較して低コストなことだ。サーバOSのライセンスがあればよいため、ハイパーバイザーを購入したり、使い方を学んだりする必要がない。

 しかし以下のようなデメリットがある。

  1. 複数のワークロードの相互干渉
    • 仮想化ソフトウェアを使用していないため、アプリケーションのハードウェアリソースの使用率を制御できない。あるアプリケーションがハードウェアリソースを過剰に消費した場合、他のアプリケーションが影響を受ける。
  2. セキュリティ
    • 複数のアプリケーションが1つのOSを共有するため、1つのアプリケーションにセキュリティの脆弱(ぜいじゃく)性があると、そのアプリケーションが攻撃の侵入経路となり、他の全てのアプリケーションを危険にさらす可能性がある。
  3. 障害
    • サーバに障害が発生した場合、そのサーバで実行している全てのアプリケーションにダウンタイム(システムの停止時間)が発生する。高可用性を維持する仕組みを導入していない場合、1台のサーバの障害によって複数のアプリケーションが停止し、大規模な損害が発生する可能性がある。

2.サーバ仮想化を採用する

 2つ目の方法は、サーバ仮想化だ。仮想化を使用する場合、物理サーバ(ホスト)がVMを実行する。

 サーバ仮想化の場合、各アプリケーションはゲストOSを搭載した各VMで実行するため、アプリケーションは互いに隔離される。1つのVMでセキュリティ侵害が発生しても、基本的には別のVMには影響しない。

 フォールトトレランス(一部が故障しても稼働を継続できること)の実現も可能だ。ホストで問題が発生した場合、そこで稼働している全てのVMを別のホストに自動的にフェイルオーバー(待機系への切り替え)する。その結果、VMのダウンタイムを抑えられる。

 ハイパーバイザーの機能を使い、リソース監視を自動化することもできる。この機能は各VMが必要なリソースを割り当てられているかどうかを監視したり、アプリケーションの需要やデータ処理量が急増し、あるVMに追加のリソースが必要になったときにリソースを自動的に割り当てたりする。十分なリソースが利用できない場合は、必要なリソースが利用できる別のホストサーバにVMを自動的に移行するように構成することもできる。

 サーバ仮想化にもデメリットが存在する。導入コストが高額で、導入手順が複雑になりがちなことがその一つだ。ハイパーバイザーのライセンスだけでなく、そのハイパーバイザーが利用可能なストレージアレイなどのハードウェアを購入する必要が生じることがある。


 一般的に、サーバ統合には仮想化が適している。後編はサーバ統合をサーバ仮想化で実施するときに気を付けるべきポイントを説明する。

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