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VMware製品がいくら高くなっても「脱VMware」が正解とは限らない訳VMware買収でインフラ戦略はどう変わるのか【後編】

BroadcomによるVMware買収後、VMware製品のライセンス体系が変わった。これを受け、VMware製品をベースにした仮想インフラはどう変わるのか。他製品への移行は進むのか。

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 半導体ベンダーBroadcomは仮想化ソフトウェアベンダーVMwareを買収後、VMware製品の永久ライセンスを廃止してサブスクリプションライセンスに移行するなど、VMware製品の販売戦略を大きく変更した。これにより、一部のユーザー企業はVMware製品に以前より高いライセンス費用を払う必要が生じている。

 その変更を受けて、ユーザー企業のインフラはこれからどう変わる可能性があるのか。VMware製品がデータセンターでどのような位置付けなのかを理解することで、その行方が見えてくる。

「脱VMware」が正解とは限らない理由

 1998年に創業したVMwareは、サーバラックを設置するデータセンターの構成と管理方法に変革を起こした。同社にとっての商機となったのは、企業のIT部門が物理サーバでアプリケーションを運用していたことだ。業務で利用するアプリケーションが増えるにつれ、必要な物理サーバの台数も増える。各サーバの活用が不十分なまま、データセンターの貴重なスペースが埋め尽くされることになる。

 各物理サーバで複数の仮想マシン(VM)を運用できるようにすれば、1台当たりのサーバの使用率が向上する。IT部門はこの考え方を取り入れ、物理サーバをVMに置き換えてアプリケーションを運用するようになった。VMware製品の導入が進むにつれ、以前は物理サーバでのみで運用されていた市販ソフトウェアが、VMware製品をベースにした仮想インフラで運用可能になっていった。

 こうして採用が進んできたVMware製品ベースの仮想インフラは、BroadcomによるVMware買収後にどうなっていくのか。「VMware製品ベースの仮想インフラがなくなることはない」という点で、アナリストの意見は一致している。

 ハイパーバイザーのベンダーとしてはMicrosoftやNutanix、Red Hat、Citrix Systemsなどがある。CPU(中央処理装置)やメモリといった物理リソースを仮想リソースに変換するという点では各ベンダーのハイパーバイザーに大きな違いはない。しかし、ハイパーバイザーの移行作業に複数の技術的ハードルが存在する。VMwareのハイパーバイザー「VMware ESXi」以外をサポートしていないサードパーティーのソフトウェアも存在する。

 ユーザー企業のIT部門は、従来利用してきたVMware製品ベースの仮想インフラの保守が避けられない時代に備える必要がある。これは2024年7月現在でもさまざまなユーザー企業において、メインフレームのレガシーシステムの保守が必要であるのと同様だ。

 仮想マシンを利用しなくとも、コンテナという選択肢がある。しかし、「VMwareのハイパーバイザーはインフラとして定着しており、これを変えるには非常にコストがかかる」と調査会社NAND Researchで主任アナリストを務めるスティーブ・マクダウェル氏は分析する。

 今後、企業が新たにソフトウェアを利用する時はインフラとしてコンテナを導入できる。しかしその一方で、一部のユーザー企業はVMwareのハイパーバイザーとVMに、旧来のソフトウェアを残し続ける可能性がある。VMware製品がユーザー企業のインフラとして定着している現状を踏まえると、当面の間はデータセンターの奥深くにVMware製品が埋め込まれた状態であり続けるはずだ。

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