SIMカードではなく「eSIM」を使うと“ビジネスが広がる”のはなぜ?:モバイル端末“埋め込み型”の利点とは
組み込み型SIMであるeSIMを使うことで、企業はどのようなメリットを得られるのか。eSIM関連サービスベンダーのeSIM Goのサービスを参考に、eSIMで何が可能になるのかを紹介する。
モバイル端末の利用者を識別する情報を保持する仕組みの一つに、モバイル端末に組み込んだSIMカード「eSIM」(組み込み型SIM)がある。企業は一般的なSIMカードではなくeSIMを使うことで、事業においてどのようなメリットを享受できるのか。eSIM関連サービスを提供するeSIM Goのサービスで考えてみよう。
「eSIM」で“ビジネスが広がる”のはなぜ?
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eSIMを使うべき理由
SIMカードには電話番号やメールアドレスといった個人を識別する情報が書き込まれている。eSIMではモバイル端末が搭載するチップにその情報が書き込まれるので、利用するサービスを変更する場合でもSIMカードを交換する必要がない。
eSIM Goは、2024年4月に通信事業者の業界団体GSM Association(GSMA)に加入したeSIM関連サービス事業者だ。同社は世界各国の通信事業者と提携している。
エンドユーザーはeSIM GoのeSIMを利用することで、さまざまな国でモバイルネットワークを利用できる。通信事業者やモバイル端末メーカーは、eSIM機能を自社製品に組み込んだり、eSIMによるデータ通信サービスを提供したりできる。企業はeSIMを活用することで、カスタマーエクスペリエンス(CX)の強化やユーザーの解約を防げる可能性がある。
eSIM GoのeSIMとサービスを利用することで、航空会社や保険会社が自社の製品やサービスにモバイル通信用のデータプランを組み合わせてエンドユーザーに販売している。旅行やFinTech(金融とITの融合)といった業界の企業もeSIM Goを利用している。
GSMAのゼネラルマネジャー、コリン・ベアハム氏は、eSIM GoがGSMAに加わることを歓迎している。eSIM GoがGSMAの作業部会(指定された目標のために結成されたグループ)やコミュニティー、プロジェクトに参加することを期待しているという。「金融や製造などの業界の組織がGSMAに加わって技術革新を前進させ、成長を促進させている。GSMAはeSIM Goを支援できることを楽しみにしている」(ベアハム氏)
「eSIM Goは移動体通信事業者(MNO)をさまざまな産業と結び付け、新しいデータ接続の需要を生み出してきた。世界各国でeSIM技術の普及を促進させている」。eSIM GoのCEOであるザッカリー・クドリック氏はそう述べる
eSIM Goは2024年5月に、190カ国以上で同社のローミングサービスが利用できるようになったと発表した。「世界各国で培ったノウハウを活用してモバイル業界との協力を深めていくことを楽しみにしている」(グドリック氏)
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