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Azureが安くなる「Azure Spot VM」を使うべき用途、使っては駄目な用途Azureの「スポットVM」を使いこなす【後編】

「Azure Spot Virtual Machines」は、Microsoft AzureのVMを格安で利用できるサービスだ。最大90%の割引を受けられる半面、注意すべきリスクもある。同割引サービスを使うこなすためのこつを紹介する。

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 Microsoftは、クラウドサービス群「Microsoft Azure」(以下、Azure)のさまざまな割引プランを提供している。その一つが「Azure Spot Virtual Machines」(Azure Spot VM)だ。Azure Spot VMには最大90%の割引を受けられるメリットがある半面、リスクもある。どうすればAzure Spot VMの割引をうまく活用できるのか。用途の観点を踏まえて、利用料金を節約するこつを押さえておこう。

「Azure Spot VM」を使うべき用途、使っては駄目な用途

 Azure Spot VMはデータセンターで未使用のリソースを提供することで、通常のVMサービスの利用料金から最大90%の割引を受けることができる。だがリソースの余剰がなくなるとVMが自動で削除される。通常、VMの停止は30秒前に通知されるだけだ。

 ユーザー企業は、VMが突然停止しても問題が発生しないワークロード(アプリケーション)にAzure Spot VMを利用すべきだ。例えば人工知能(AI)モデルのトレーニングにAzure Spot VMを利用する場合、VMのシャットダウン時に一時停止し、後で再開できるようなトレーニングプロセスを設計すると、VMが自動削除された場合でもうまく動作する。

 実験やテスト目的で使用しているワークロードも、中断を許容できるのであればAzure Spot VMに適している可能性がある。例えば本番環境に導入前のワークロードの負荷テストを実施する場合、Azure Spot VMをインフラとして利用すればテストのためのコストを抑えることができる。VMが停止した場合でも、後で別のVMでテストを再開すればよい。

 一方でセキュリティソフトウェアや顧客に提供するWebアプリケーションなど、継続的に稼働しなければならないワークロードは、Spot VMで実行すべきではない。VMの自動削除によって、セキュリティ侵害や予期しないアプリケーション停止のリスクが生じるからだ。

 Azure Spot VMを利用する場合は、どのワークロードのインフラとして使用するかに加え、以下の3つのベストプラクティスを実践するとよい。

1.過去の料金の実績と自動削除率を調べる

 Azureポータルで、Azure Spot VMの過去の料金実績を確認する。VMの種類ごとに一定期間の自動削除率も確認できる。過去のデータは将来の傾向を保証するわけではないが、VMの可用性や利用料金を見積もったり、VMの種類を選択したりすることに役立つ。

2.適切な自動削除ポリシーを選択する

 Azure Spot VMは、設定時に自動削除ポリシーとして「割り当て解除」と「削除」のどちらかを選択できる。割り当て解除はVMの実行を停止するが、後で再起動できることを意味する。削除はVMが永久になくなることを意味する。割り当て解除は再起動ができる代わりに、VMが稼働を停止した後もVMで利用するストレージリソースの利用料金が発生する。コストを最小限に抑えたい場合は、自動削除ポリシーとして削除を選択するとよい。

3.「スポット優先度ミックス」を使用する

 スポット優先度ミックスは、標準的なVMサービスとAzure Spot VMを組み合わせたリソースプールを作成できるAzureの機能だ。Azure Spot VMが利用可能な場合は自動的にワークロードを同VMで実行し、Azure Spot VMが自動削除された場合は標準VMにワークロードが移動する。スポット優先度ミックスは、1、2台のVMで実行するワークロードでは導入する意味が薄くなる場合がある。ただし数十台、数百台規模のVMが必要な場合、Azure Spot VMだけに依存することにはリスクがある。標準VMと組み合わせて利用することで、VMコストの削減とシステム停止のリスク低減を両立させることが可能だ。

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