「VRエンジニア」はいくら稼げる? 気になる年収を調査:「仮想現実の世界」が仕事になる【後編】
VR技術の発展を支える「VRエンジニア」。その年収や需要はどうなのか。VR市場の将来性を踏まえて、業界関係者にVRエンジニアの実態を聞いた。
VR(仮想現実)の技術革新は、人々の生活やビジネスの在り方に変化をもたらしている。こうした技術進化とともに需要が高まってきたのが「VRエンジニア」という職種だ。その報酬や将来性はどうなのか。年収や今後の需要といった観点から、VRエンジニアの実態を探る。
「VRエンジニア」はいくら稼げる? 年収と需要を調査
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連載:「仮想現実の世界」が仕事になる
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ITコンサルティング企業SPRでUX&プロダクトデザイン部門ディレクターを務めるテイラー・リーガン氏は、VRエンジニアの主な就職先として、ゲーム業界とや大手ITベンダー、代理店やコンサルティング会社を挙げる。
未経験でVRエンジニアを目指す場合、米国では年収で5万〜6万ドルほどの収入が見込める。1〜3年の経験があれば、6万〜7万5000ドルの収入が期待できる。6年以上の経験があるVRエンジニアなら、14万〜16万ドルの収入を要求できるという。この額は、2024年8月時点で2000万円以上に相当する。
バーチャルインタラクティブスタジオThe SkyWatcherでゲームディレクター兼創設者を務めるリザ・レズニック氏は、「優秀な中堅VRエンジニアなら、8万〜10万ドル程度は稼げるはずだ」と語る。
陰りを見せるVR市場
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(感染症の世界的な流行)の影響で、外出が規制された中でも楽しめるゲーム業界は大いに盛り上がった。しかしパンデミックの終息後、市場の熱は落ち着きを見せている。
「ゲーム業界でのリストラは、誰にとってもあり得る話になりつつある」。米国の労働組合は2024年1月の声明でこう述べている。Microsoftは2024年1月、ビデオゲーム部門の従業員約1900人のレイオフ(解雇)を発表している。収益性の高い業界で成功している企業であっても、生活は保証されない。
「メタバースが盛り上がった時期に比べて、VRエンジニアの需要は低下しつつある」とコーンウォール氏は指摘する。パンデミック中、対面会議の代替手段としてバーチャル会議が大きな注目を集めたが、その後あまり話題になっていないようだ。企業はVRアプリケーションの開発について慎重に検討している段階だと言える。
一方でリーガン氏は、MR(拡張現実)のビジネスチャンスはさらに広がるとみている。「特にAR技術は、VRのように特別なヘッドセットを必要とせず、既に持っているモバイルデバイスでも利用できる」とリーガン氏は述べる。ARの普及は、MR技術の導入に対する理解と需要を高め、その結果、MRの商業的機会が拡大する可能性がある。
コーンウォール氏も、スマートグラスやヘッドセットなどの技術進化が市場価値を高めるとの見方を示す。「仮想空間と現実世界をより自然に融合できるようになれば、XR市場の可能性はさらに広がるだろう」(同氏)。
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