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もはや新しい“テレワーク文化”「静かな休暇」の真実新しい働き方の概念【中編】

テレワークやハイブリッドワークを実施する従業員の間では、「静かな休暇」を選択する動きが広がっている。これはどのような働き方なのか。その実態とは。

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 テレワークやハイブリッドワーク(テレワークとオフィスワークの組み合わせ)を実施する従業員の間では、「静かな休暇」(クワイエットバケーショニング)が広がっており、特に若手世代に人気がある。静かな休暇とは、休暇を取得することではない。どのような働き方なのか。静かな休暇が台頭している理由とは。

もはやテレワーク文化? 「静かな休暇」の真実

 静かな休暇とは、従業員が直属の上司を含む誰にも知らせずに休暇を過ごすことを意味する。静かな休暇中の従業員は、最低限の業務を実施することで“働いている感”を出しながら、休暇を過ごす。

 従業員が静かな休暇を選択する理由は幾つかある。履歴書作成ツールを提供するWebサイト「ResumeBuilder.com」を運営するBOLDが2024年6月に公開した調査結果によると、静かな休暇を選択したことがある従業員はその理由として以下を挙げた。

  • 不安で有給休暇を申請できなかった
  • 有給休暇日数を消化したくなかった
  • 休暇を取ると、企業から業務に対して前向きではないと判断されると思った
  • 休暇を取ると、レイオフ(一時解雇)される可能性が高まると感じた

 同調査は2024年5月、ResumeBuilder.comの委託で調査会社Pollfishがオンラインで調査し、企業の従業員1050人が回答した

 一般的には休暇を取ろうと思うのであれば有給休暇を取得するものだが、それが叶わないことがある。静かな休暇を選択する人の中には、申請が却下されたために静かな休暇を選択する人もいる。

 ResumeBuilderによれば、静かな休暇を取ったことがある人の30%が「有給休暇がない」ことを理由に挙げている。有給休暇の日数が十分にあったり、過労や燃え尽きを感じていたりしても、有給休暇を申請することに不安を感じている人もいる。こうした感情は、部下の業務を細かく管理するマイクロマネジメントやハラスメントといった職場の文化や上司への不信感が助長する。このような感情が、静かな休暇を取る行動を正当化しやすくもしている。

静かな休暇を取りがちな従業員は誰?

 調査会社The Harris Pollが2024年5月に公開した調査レポートによると、ミレニアル世代(1980年代前半から1990年代半ばまでに生まれた世代)の37%が、「上司に無断で休暇を取ったことがある」と回答した。これは、回答者全体の28%という数値を上回っている。2024年8月26〜28日に実施された同調査では、米国で働く18歳以上の労働者1170人が回答した。若い労働者は年配の労働者より静かな休暇を取る傾向にある。

 Z世代(1995年〜2009年に生まれた世代)やミレニアル世代など、静かな休暇を取る傾向が強い労働者は、雇用主から付与されている有給休暇を使い切らないとも述べている。その割合はZ世代で89%、ミレニアル世代で83%だ。この結果は、有給休暇があるにもかかわらず休暇を取りづらい状況に置かれていることを示唆している。

 働き過ぎていると感じたり、休暇中も上司といつでもコミュニケーションを取れる状態にあることを期待されていると感じたりしている従業員は、静かな休暇を取る可能性が高い。静かな休暇は、仕事への熱意や満足度を持ちづらい労働者に広まりつつある。


 後編は、静かな休暇を誘発する原因となる企業文化を紹介する。

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