SD-WANではなく「NaaS」が脚光を浴び始めた理由:NaaSかSD-WANか【前編】
企業ネットワークは効率性を求め、常に変化してきた。現在さまざまな企業がSD-WANを採用しているが、企業の関心はSD-WANからNaaSへ移りつつある。その背景とは。
企業ネットワークは、過去に何度も変化してきた。例えば、2010年代に登場した「SD-WAN」(ソフトウェア定義WAN)はさまざまな企業に広がった。次の変化として、企業は「NaaS」(Network as a Service)に注目しているという。企業の関心がSD-WANからNaaSへと移りつつあるのはなぜなのか。
SD-WANの次はなぜ「NaaS」なのか?
スイッチング(トラフィックの中継と転送)技術である「MPLS」(マルチプロトコルラベルスイッチング)で管理するWANと比べて、SD-WANはコストやパフォーマンスに優れているという見方がある。特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)以降は、オフィスワーカーとテレワーカーが効率よくネットワーク内のリソースにアクセスするために、SD-WANは重要な技術となっている。
そのSD-WANから、企業の関心がNaaSへ移ろうとしているのはなぜなのか。NaaSとは、ネットワークのハードウェアやソフトウェア、管理ツールなどをベンダーやサービスプロパイダーがサービスとして提供する方式だ。
NaaSベンダーのGraphiantは調査会社Eleven Researchにネットワークエッジ(ネットワークの末端)に関する調査を委託した。北米地域のネットワーク管理者とネットワークエンジニアの合計200人が調査対象になった同調査によれば、「さまざまな企業がSD-WANからNaaSへの移行を検討している」という。
Graphiantの調査では、「SD-WANはWANの性能を管理するという面では優れているが、アジリティー(俊敏性)と拡張性、コスト面では課題がある」と指摘している。これらの課題を解決する手段として、調査対象の約90%がNaaSの導入に興味を示した。
ネットワークにおける拡張性とアジリティーの確保やセキュリティとプライバシーの保護は、複雑な課題だ。課題を解決する手段として、「as a Service」モデルが考えられる。既にさまざまなIT領域にas a Serviceは広がっており、Graphiantの調査に回答した企業は以下のようなas a Serviceを利用していた。
- SaaS(Software as a Service)
- 97%が使用していると回答
- STaaS(Storage as a Service)
- 81%が使用していると回答
- Computing as a Service
- 61%が使用していると回答
- Computing as a Serviceはコンピューティングリソースをオンデマンドで提供する方式
as a Serviceの概念はネットワークにも拡大している。約62%の回答者が、NaaSの採用可能性を「やや可能性が高い」と感じており、26%が「非常に可能性が高い」と回答している。
次回は、企業がNaaSとSD-WANをどのような形で導入するのか、その将来像を解説する。
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