Linux向け印刷管理ツール「CUPS」の極めて危険な“4つの脆弱性”とは:ChromeOSにも影響
オープンソース印刷管理ツール「CUPS」に危険な脆弱性が見つかった。どのような脆弱性で、悪用されればどうなるのか。「Linux」「UNIX」ユーザーが知っておくべき情報を整理しよう。
セキュリティ研究者のシモーネ・マルガリテッリ氏によると、「Linux」「UNIX」向けのオープンソース印刷管理ツール「CUPS」(Common Unix Printing System)に4つの脆弱(ぜいじゃく)性がある。4つを組み合わせれば、任意のコマンド実行が可能になるという。Linux/UNIXのシステムに加え、Googleが開発したLinuxベースのOS「ChromeOS」にも影響を及ぼす可能性がある。どのような脆弱性なのか。
「印刷機能」からの攻撃ができる脆弱性の仕組みとは
マルガリテッリ氏はCUPSの調査に当たり、CUPSのプリンタ検出機能「cups-browsed」が悪用されていることに気付いたと説明する。cups-browsedは新しいプリンタを検出し、システムに自動的に追加する。同氏によると、cups-browsedの悪用によって、ユーザーに通知せず、偽のプリンタを追加できる。「プリンタのURLを不正なものに置き換え、印刷ジョブが開始されたら、任意のコマンドを実行できる」(同氏)
脆弱性の識別子「CVE」(Common Vulnerabilities and Exposures)は「CVE-2024-47176」「CVE-2024-47076」「CVE-2024-47175」「CVE-2024-47177」だ。セキュリティベンダーTenableはCVE-2024-47177の危険度を「緊急」と捉えている。他の3つは「重要」だと評価しているという。セキュリティベンダーRapid7は今回の脆弱性を悪用した攻撃活動について注意を呼び掛けている。
セキュリティ界隈では今回の脆弱性の発見を受け、2021年に見つかった脆弱性「Log4Shell」との比較がされている。Log4ShellはJavaのログ出力ライブラリ「Apache Log4j」の脆弱性「CVE-2021-44228」を指す。ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃をはじめ、攻撃活動に積極的に悪用され、被害を受ける組織が相次いだ。ただし、今回の脆弱性については「Log4Shellのようなレベルのものではない」(Tenable)という見方がある。対策としてTenableは、システムからcups-browsedを無効化や削除することを推奨している。
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