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ITインフラの半分が危機? Kyndrylの調査で見えた“隠れた問題”とは未来のリスクに準備できているか

企業が競争力を維持するための重要な要素であるITインフラは、幾つかの重大な課題を抱えている。その現状と企業が取るべき行動について、Kyndrylの調査を基に解説する。

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インフラ | 運用管理


 企業におけるデジタル化が急速に進む現代において、ITインフラの重要性はかつてないほど高まっている。一方で、ITインフラサービスプロパイダーのKyndrylが実施した調査では、ITインフラの半数近くが“ある問題”を抱えている状況が浮かび上がった。デジタル時代に競争力を高めるために、企業が取り組むべき施策とは何か。

ITインフラの半数が危機? Kyndrylの調査で見えた現状

 2024年10月、Kyndrylは調査レポート「The Kyndryl Readiness Report 2024」を公開した。レポートはKyndrylが2024年7〜9月の期間中に実施したグローバル調査をまとめたもので、3200人の上級幹部および意思決定者へのアンケート結果と、人工知能(AI)技術を運用管理に使用するAIOpsシステム「Kyndryl Bridge」から得たデータに基づく。

 調査では、ビジネスリーダーの94%が「モダナイゼーション」をビジネスにおける優先事項として挙げた。ビジネスリスクを軽減するために最も重要な施策としては、42%が「ITインフラのアップグレード」と回答した。一方で、モダナイゼーションに関する取り組みや新しい技術の活用について「自社がリードしている」と感じる回答者はわずか3割に過ぎなかった。回答者の71%が「自社はモダナイゼーションの初期段階にある」と考えており、56%が「新しいデジタル技術の導入を進めている段階」、15%が「まだ導入を始めたばかりの段階」と答えた。

 実際、Kyndrylが顧客向けに管理する重要なITインフラのうち、約半分の44%がEOL(サポート終了)を迎えつつある状況が明らかになっている。EOLが近い、もしくはサポートが終了しているITインフラは、サイバー攻撃に対して脆弱(ぜいじゃく)であり、システム停止が長引くリスクも強まる。つまり、世界の重要インフラの半数近くが十分な「レジリエンス」(障害発生時の回復力)を備えておらず、アップグレードが必要な状態だということだ。

 さらに、CEOの64%が自社ITインフラの老朽化に懸念を抱いていた。ITインフラの老朽化は、脆弱性の向上、システム運用スキルの不足、モダナイゼーションの難しさといった課題を引き起こしかねない。他にも、企業幹部の71%が「自社のITインフラではAI技術を十分に活用できない」ことを認めている。

 ビジネスにおける課題として、56%の回答者が「セキュリティの脆弱性」、53%が「イノベーションのスピード」、52%が「新しい技術を統合することの難しさ」を挙げた。セキュリティについては企業幹部の65%がサイバー攻撃に対する懸念を示したが、わずか30%が「サイバー攻撃への対策ができている」と感じていた。

 Kyndryl Bridgeのデータによると、ITに関する問題の約8%が自動で解決されている。Kyndrylは、この数字を最大30%まで引き上げられると考えている。保守コストの削減とダウンタイムの回避により、企業は年間数十億ドルを節約できる可能性がある。

 Kyndrylの会長兼CEOマーティン・シュレーター氏は調査結果について次のように述べる。「課題に準備するのは容易ではないが、社員が新しい技術を使いこなせるようにサポートする仕組みを整備し、社内のニーズに合ったツールを選定し、デジタルトランスフォーメーション(DX)の難しさを組織全体で受け入れることが重要だ」

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