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いまさら聞けない「完全仮想化」とは? 使用するハイパーバイザーは?完全仮想化と準仮想化の違い【前編】

ハードウェアのリソースをソフトウェアによって統合および分割する技術が仮想化だ。仮想化の種類には「完全仮想化」がある。完全仮想化がどのような技術なのかを説明する。

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OS | 仮想マシン(VM) | サーバ仮想化


 仮想化とは、1つの物理的なハードウェアで、仮想的なコンピューティング環境である仮想マシン(VM)を同時に作動させる技術だ。「ハイパーバイザー」というソフトウェアがハードウェアとVMの間を仲介する。

 仮想化の種類には「完全仮想化」(full virtualization)と「準仮想化」(Para Virtualization)があり、それぞれ目的やメリットが異なる。完全仮想化の概要や、メリットとデメリットを紹介する。

いまさら聞けない「完全仮想化」とは?

完全仮想化のメリット

 完全仮想化においては「タイプ1ハイパーバイザー」(ベアメタルハイパーバイザー)を利用するのが一般的だ。タイプ1ハイパーバイザーは物理ハードウェアで動作し、ホストOSを介さず直接ハードウェアにアクセスする。タイプ1ハイパーバイザーには、半導体ベンダーBroadcomが買収した仮想化ベンダーVMware(以下、VMware by Broadcom)の「VMware ESXi」などの製品が該当する。

 完全仮想化を利用すると、管理者は完全に独立したゲストOSでアプリケーションを実行できる。この仕組みにより、複数の異なるゲストOSを全て同じコンピュータで同時に動作可能となる。例えば、あるVMではMicrosoftの「Windows Server 2016」、別のVMでは「Windows Server 2019」、さらに別のVMでは「Linux」を稼働できる。

 IT管理者はこうしたVM間の独立性により、システム全体で柔軟性(変化に迅速に対処する能力)を確保して、コストの削減やメンテナンスを効率化できる可能性がある。

完全仮想化のデメリット

 完全仮想化は幅広く導入されている技術だが欠点もある。ハイパーバイザーはハードウェアとOSの間に新たなレイヤーを導入するため、システム全体の構成が複雑化する。

 基盤となるハードウェアに直接アクセスする必要があるアプリケーションは、VMでは適切に機能しないことがある。ただし、VMで動作しないアプリケーションは珍しく、レガシーなアプリケーションの中でも限られている。そのようなレガシーアプリケーションであっても、専用のサーバで運用していれば、通常は他のアプリケーションには影響を与えない。

 IT担当者は、VMを展開するに当たって可用性やリスクも考慮しなければならない。仮想環境では、物理サーバの故障や障害はそのシステム上で稼働している全てのVMに影響する恐れがある。例えば、5つのVMが稼働している1台のサーバで障害が発生すると、それらのVMで稼働するアプリケーション全てで障害が発生する。

 同一システム上に複数のVMが存在すると、そのシステムで利用可能なLAN帯域幅が混雑する可能性もある。そのため、データセンター内のリソースを抽象化した仮想データセンターでは負荷分散、保護、復旧の方法が極めて重要になる。


 次回は準仮想化の仕組みとメリットを解説する。

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