「Perplexity AI」や「AI Overviews」は“普通の検索”と何が違うのか:AI時代の検索はどう変わるのか【前編】
AI搭載型の検索エンジンは、従来型の検索エンジンから何が進化したのか。ユーザーにもたらされる新しい価値を解説する。
AI(人工知能)技術の進化に伴い、検索エンジンの在り方も変わりつつある。AIベンダーPerplexityは2022年12月にAI搭載検索エンジン「Perplexity AI」を公開。2024年10月には、AIベンダーOpenAIがAIチャットbot「ChatGPT」に検索機能を搭載した「ChatGPT Search」の提供を開始した。
GoogleやMicrosoftなどの検索大手も、自社の検索エンジンにAI機能を追加している。例えばGoogleは、検索結果の要約や比較ができる「AI Overviews」(AIによる概要)という機能を提供している。Microsoftも同社の検索エンジン「Bing」にAI検索機能を搭載した。Meta Platformsも、ソーシャルメディア向けにAI検索機能の投入を検討しているという。
こうしたAI搭載の検索エンジンは、従来の検索エンジンと何が異なり、新たに何ができるようになったのか。
「AI検索」は“普通の検索”と何が違う?
併せて読みたいお薦め記事
AI検索ツールを比較
AI検索エンジンの主な特徴は、大規模言語モデル(LLM)を活用することで、従来型の検索エンジンにはない高度なユーザー体験を実現する点にある。具体的には、以下のような特徴が挙げられる。
- 自然言語処理(NLP)
- ユーザーのクエリ(検索文)に込められた意図や文脈を理解し、精度の高い検索結果を提供する。
- 具体的な回答の提示
- Webリンク一覧を提示するだけにとどまらず、クエリに対する具体的な答えを自然言語で提示する。
- 分かりやすい解説の付加
- 回答に対して分かりやすい解説や背景情報を加えることができる。
- 情報源の統合
- 複数の情報源から得たデータを組み合わせることで、深い洞察や包括的な情報を提供する。
- 継続的な対話機能
- ユーザーとの対話を継続し、関連するトピックや追加の質問に答えることができる。
AI検索は、LLMの弱点を克服する技術とも言える。一般的に、LLMの知識は学習時点のデータに依存するため、最新の情報を回答に反映できないという弱点がある。一方で、AI検索エンジンにはそのような知識の制限がなく、通常の検索エンジンと同様に最新の情報を回答に反映できる。
以下は、AI検索と従来の検索を比較した表だ。
AI検索 | 従来型の検索 | |
---|---|---|
コンテンツ生成 | オリジナルのコンテンツをその場で作成する | Webリンクの一覧を提示するにとどまる |
クエリの理解 | ユーザーが自然言語で入力したクエリの意図や文脈を理解する | 意味をある程度理解するものの、基本的にはキーワードの理解にとどまる |
文脈の認識 | 会話形式全体の文脈を保持する | 文脈の認識は限定的で、各クエリ間の情報は引き継がない |
情報の合成 | 複数の情報源からの情報を組み合わせる | 別の情報源からの情報は分けて表示する |
更新頻度 | 最新情報を回答に反映できる | Webクロールとインデックス作成のタイミングに依存する |
パーソナライズ化 | 会話の履歴に基づいてパーソナライズ化が可能 | ユーザーデータと検索履歴に基づいてパーソナライズ化が可能 |
次回は、従来の検索エンジンとAI検索エンジンの仕組みの違いを解説する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国Informa TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.