人間関係が薄いテレワーク時代、開発者はどうすれば活躍できる?:開発者のソフトスキル習得法【後編】
現代の開発者には、チームで円滑なコミュニケーションを図り、問題を解決する能力が求められる。テレワークが主流の時代において、これらのスキルをどのように培い、チームの結束を強めるのか。
開発者が職場で円滑に協力し合い、効果的に問題を解決するためには、ソフトスキルの習得が欠かせない。開発者に求められるソフトスキル4つのうち、後編となる本稿は2つのソフトスキルとその効果的な習得法を紹介する。
3.職場における人間関係の構築スキル
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連載:開発者のソフトスキル習得法
IT人材トレンドを解説
かつて、IT部門で働いていた筆者は、極度のプレッシャーにさらされていた時期がある。IT部門長からは「より少ないリソースでより多くの成果を出すこと」「プロジェクトの期間を短縮する方法を見つけること」といった要求を突き付けられた。職場はストレスが多かったが、同僚との仲間意識を高めることで、チームの関与度やプロジェクトへの主体性を高めることができた。
「共感」は、チームの協力関係を強化する上で欠かせない要素だ。ソフトウェア開発において、共感力を高める最もシンプルな方法が、「何かを依頼もしくは提案する前に、まず相手の視点を理解すること」だ。このアプローチは、ユーザー目線の製品開発にも役立つ。ユーザーのニーズを予測することで、より魅力的なソフトウェアを生み出すことができるのだ。
近年、オフィス勤務、テレワーク、両者を組み合わせた「ハイブリッドワーク」が混在する中で、チーム内の良好な関係を育むことが重要な課題となっている。より協力的な職場環境を築くために、チームは創意工夫を凝らし、以下のような取り組みを導入できる。
- 定期的なオフィスアワーを設定する
- オンラインまたは対面で週に1回程度、誰でも気軽にオフィスに立ち寄り、質問や進捗(しんちょく)を共有できる時間を設ける。
- 四半期ごとにチームビルディングを実践する
- 実務に役立つプレゼンテーションやワークハックの共有に加え、チーム対抗のクイズ大会やハッカソンなど、カジュアルなイベントを開催する。
- 成果を共有する専用チャネルを作成する
- 「Microsoft Teams」や「Slack」といったコラボレーションツールで、成功事例を祝ったり、業績評価の記録として活用したりできる専用チャネルを設ける。
- グループプロジェクトやメンター活動に参加する
- チームで共同作業に取り組むことで、関係を深めると同時に、キャリアの浅い開発者を支援する機会にもなる。
- 従業員リソースグループ(ERG)の設立
- ERGとは、共通する背景を持つ従業員のグループを指す。他部署の同僚と交流し、サステナビリティやDEI(多様性、公平性、包摂性)などのテーマについて議論する場を設ける。
異なる視点を理解しようとする姿勢は、コラボレーションを強化し、イノベーションを促進する。共感を基盤とした人間関係を築くことで、仕事で困った時に助けを求めやすくなったり、転職時にリファレンスを頼んだりすることもできる。
4.チーム全体としての問題解決スキル
多くの開発者は「川渡りパズル」「狼とヤギとキャベツ」といったブレインティーザー(頭の体操)に馴染みがあるだろう。かつて、プログラマーの面接でこうしたクイズが使われていた。数学的なモデルを構築して正解を導き出すか、あるいは「ひらめき」による解決を求める問題だからだ。しかし、ソフトウェア開発の現場では、単なる方程式やひらめきではなく、適切なトレードオフを見極めることが重要だ。例えば、「どの程度の可用性が十分なのか」といった問題には、絶対的な正解は存在しない。
ソフトウェア開発では即興性が求められることが少なくない。特にソフトウェアアーキテクチャの設計や技術選定は、常に変化する要件や制約に対処する必要があるため、その場での適応力が重要になる。こうした判断は、個人の能力だけでなく、チーム全体が協力しながら柔軟に対応できる環境があることで、より良いものになる。
問題解決スキルを鍛えるには、以下のようなアプローチが有効だ。
- プロジェクトに対する建設的なフィードバックを求める
- チームメンバーにアイデアを共有し、異なる視点からの意見を取り入れる
- 失敗を貴重な経験と捉える。過去のミスから学ぶことで、今後の判断がより的確になる。
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