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AIモデルの「劣化」はなぜ起きる? 忘れてはならない“あのプロセス”AIモデル「最適化」戦略【前編】

AIプロジェクトは、単にAIモデルを構築して展開するだけで完結するわけではない。AIモデルの精度や運用効率の低下といった問題を防ぐために、企業が取るべき対策とは。

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人工知能 | 開発プロセス


 幅広い業界の企業がAI(人工知能)モデルの構築に取り組んでいる。しかし、AIプロジェクトはAIモデルを展開すれば完結するわけではない。重要なのは、AIモデルが効率的に最適な結果を提供し続けることだ。そのために必要なプロセスが「AIモデルの最適化」だ。本連載は、その重要性と実践方法について解説する。

AIモデルの「劣化」はなぜ起きる? どうすれば防げるのか

 AIモデルを改善するプロセスを「最適化」と呼ぶ。エンジニアはこのプロセスを通じて、主に以下2つの目標を追求する。

  • AIモデルの運用効率化
    • AIモデルのより効率的な動作を目的として、さまざまな変更を加える。例えば、AIモデルのソースコードを調整することで、メモリやCPU(中央演算装置)の消費を抑え、オーバーヘッド(余分な処理負荷)を低減できる。AIモデルの設計を見直すことで、推論にかかる時間を短縮し、より迅速な意思決定を可能にする。
  • AIモデルの回答精度の向上
    • AIモデルが生成する結果の精度や信頼性を高めることを目指す。例えば、より高品質なデータを用いた再学習を実施することで、AIモデルの判断精度を95%以上にまで高められる場合もある。

 より効率的で信頼性の高いAIモデルが、低コストでより大きな価値を生み出せる――これが、AIモデルの最適化が重要である理由だ。AIモデル最適化は「モデルドリフト」のような課題に対処する上でも不可欠なプロセスだ。

 モデルドリフトは、本番環境のモデル精度が低下する現象を指す。例えば、AIモデルが依存するソフトウェアライブラリのバージョン更新など、環境の変化によって処理効率が低下することがある。他にも、AIモデルの学習に使われたデータが現実の状況を正確に反映しなくなる「データドリフト」と呼ばれる現象が発生し、AIモデルの推論精度が低下することがある。

 AIモデルの最適化を継続的に実施することで、エンジニアはこれらの課題に対処し、その効率性と効果を維持し続けることができる。


 次回は、AIモデル最適化の具体的なアプローチを解説する。

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