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テレワークのためなら給与が減っても構わない──“許容範囲”はいくら?IT業界の高所得労働者を調査

全米経済研究所の調査によると、IT業界の高所得の労働者の一部は、出社しない完全テレワークかハイブリッドワークができるのであれば給与が減少しても構わないと考えている。減額の割合はどの程度か。

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 出社なしの「完全テレワーク」か、テレワークとオフィスワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」ができるのであれば、給与が減少しても構わない──。全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)の調査で、IT業界における高所得の労働者はそのように考えていると分かった。どれほど減額しても構わないのか。

給与減の“許容範囲”はどれくらい?

 従来の調査では、労働者がハイブリッドワークやテレワークのために受け入れる給与の減額は、平均5〜10%程度と推定されていた。これらの調査は、労働者に「テレワークのためにどれほどの給与を犠牲にできるか」と尋ねるアンケート形式のものだった。

 全米経済研究所が2025年1月に公開したワーキングペーパー(暫定的な論文)「Home Sweet Home: How Much Do Employees Value Remote Work?」は、従来とは異なる調査手法を利用した。

 調査チームは、IT関連の給与情報を提供するWebサイト「Levels.fyi」で参加者を募集。米国のIT業界の求職者1396人が受け取った求人の提案を分析し、給与額とその職種がハイブリッドワークまたは完全テレワークかどうかを調べた。求職者が最終的にどの提案を受け入れたかを観察し、テレワークのためにどれほどの給与を犠牲にするかを推定した。

 調査によると、労働者はテレワークができない業務と比べ、平均約25%の給与の減額を受け入れることが判明した。ただし、調査対象者は高所得層のIT業界の労働者で、平均年収は23万9000ドル(約3600万円)だった。

テレワークとオフィスワークの給与差はほぼなし

 一方、テレワークとオフィスワークの間には明確な給与額の差がないことも分かった。ハーバード大学ハーバードビジネススクール(Harvard University Harvard Business School)の経営学助教授であり、同調査の研究者の一人であるゾーイ・カレン氏は「同じ企業、同じ職種において、テレワークとオフィスワークの間でほぼ給与差が見られなかった」と述べ、「企業は労働者の働き方を給与に反映させていない可能性がある」と指摘する。

 企業が給与を調整しない背景には、従業員間の公平性や給与体系に関する課題がある。カレン氏は「企業の中には、労働者のニーズを認識していないところもある」と前置きしつつ、「同じ職場で働いているにもかかわらず、従業員の間で給与額に差が発生することで不公平感が生まれることを避けたいと考える企業がある」と指摘。「既存の給与体系がある中で、働き方によって給与額を調整することが難しい企業もある」と述べる。

 労働市場調査会社Janco AssociatesのCEOであるヴィクター・ジャヌレイティス氏は「テレワークを実施しているかどうかで、企業が体系的に給与を引き下げている証拠は見当たらない」と指摘する。しかし同氏が経営幹部に聞き取った調査では、テレワークに対して否定的な見解があることも明らかになった。

 ジャヌレイティス氏は「大部分の企業は、労働者のニーズよりも事業運営の目的を優先している」と述べ、「テレワークは企業の目標に対して副次的なものと見なされている」と指摘する。ただ「企業が存続するためには、人材の確保は不可欠だ」と同氏は提言した。

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