仮想マシンは「マルウェアに感染しない」どころか“危険の温床”になり得る理由:VMを安全に使う【中編】
マルウェアのリスクは仮想マシン(VM)にも存在する。マルウェアがVMに感染した場合、どのような影響を与えるのか。VM内だけではなく、社内LANやホストマシン、他のシステムに与え得る被害とは。
仮想マシン(VM)はホストマシンから隔離された実行環境を提供する。ただし「この構造のおかげでセキュリティは万全だ」と考えてはいけない。実際にはPCと同様に、マルウェアの標的になり得る。ではVMがマルウェアに感染した場合、どのような事態が発生するのか。
マルウェアに感染したVMはどうなる?
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VMのセキュリティ
VMがマルウェアに感染したとき、影響がVM内にとどまるのであれば、被害を抑えることができる。マルウェアの種類や構成によって、その影響範囲は変わる。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)の場合、VM内のOSが使うファイルを暗号化する。暗号化されたファイルはホストマシンにあるイメージファイルに過ぎないため、そのイメージファイルをすぐに削除したり、前もって作成しておいたバックアップやスナップショットで復旧したりすることで対処できる。
スパイウェアの場合、一般的なスパイウェアの監視機能であるスクリーンキャプチャー機能は、VM内で動作している画面のスクリーンキャプチャーは取得できる。だが、ホストマシンのスクリーンキャプチャーは取得できない。
覚えておくべき重要な点は、マルウェアは侵入先のマシンが接続している他のマシンに拡散する性質があることだ。そのため、ホストマシンを仮想化ベンダーが提供するセキュリティ機能で保護することが重要になる。
IT管理者は、VMとホストマシン間のフォルダ共有、ネットワーク通信、コピー&ペーストなどの機能を制限することもセキュリティ強化につながる。安全性の向上には、VMとホストマシンの両方でマルウェア対策ソフトウェアを最新状態に保つことや、フォルダとネットワークの共有機能を無効にすることも役立つ。
次回は、VMがマルウェアに感染した場合の対処と、実践的なマルウェア対策を解説する。
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