あの情報が格好の餌食に? ネットストーカーに狙われないための対策をおさらい:ネットストーキングとは【後編】
気付かないうちに、自分のSNSアカウントが監視され、悪質なコメントが繰り返し投稿されている――このようなハラスメントを遂行するネットストーキングに特徴はあるのか。ネットストーキングの法的な位置付けとは。
インターネットで特定の人物につきまといをする行為がネットストーキングだ。ネットストーキングの被害者や加害者(ネットストーカー)に特徴はあるのか。ネットストーキングの被害に遭わないための対策はあるのか。
被害者や加害者の特徴とは
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連載:ネットストーキングとは
あのせいで私が標的に?
ネットストーキングは女性が狙われやすい傾向があるが、女性が加害者となるケースも存在する。2006年、米ミズーリ州で発生した自殺事件では、女性の加害者がコンピュータを使った不正行為を防止する法律に違反したという理由で起訴され、2008年に有罪判決を受けた。
加害者がターゲットにするのは、成人や若年層、子ども、企業、政府機関などさまざまだ。米連邦捜査局(FBI)によると、特に個人はセクストーション(性的脅迫)の被害に遭いやすい。セクストーションは、被害者から裸の写真を得るだけでなく、その情報を基に被害者を脅す行為だ。
ネットストーキングを受けるとどうなる?
ネットストーキングのターゲットになった場合、被害者は以下の影響を受ける可能性がある。
- 精神的な被害
- 不安、抑うつ、被害妄想、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を発症する。
- 身体的な被害
- 頭痛や不眠、かいようなど、ストレスに起因する疾患を発症する。
- キャリアや個人の名誉に関わる被害
- 虚偽の告発や個人情報の暴露によって社会的、職業的な損害を被る。
- 経済的な損失
- ランサムウェア攻撃やなりすましによって金銭的な損害を被る。
ネットストーキングの法的な位置付け
ネットストーキングを犯罪として扱う国や地域の例は以下の通りだ。
- 米国
- Violence Against Women Act Reauthorization Act of 2021といった連邦法や州法で規制され、罰金や懲役刑が科される。
- 英国
- Protection from Harassment Act 1997とMalicious Communications Act 1988を適用し、加害者を刑事罰に処すことができる。
- EU(欧州連合)
- ドキシング(住所や金融情報など、被害者の同意を得ずにその個人情報を暴露すること)は欧州人権条約(European Convention on Human Rights)第8条に違反するとされる
オーストラリア、カナダ、インド、シンガポールなども独自の法整備を実施している。
ネットストーキングに遭わないためには
完全に匿名な状態でインターネットを使うことはほぼ不可能だ。そうした中でも、以下の対策でネットストーキングの被害を防ぐことが可能だ。
- 性別を特定できない名前やニックネームを使用する。
- メールアドレス、住所、電話番号、職場情報をインターネットに公開しない。
- 顔が識別できる画像を投稿しない。
- 信頼できる相手だけとやりとりするためのメールアカウントを使用する。
- スパムメールを除外するためのフィルターを設定する。
- ソフトウェアを定期的にアップデートする。
- VPN(仮想プライベートネットワーク)を使ってIPアドレスを秘隠する。
- SNSのプライバシー設定を強化する。
- 多要素認証(MFA)を導入する。
- 公衆無線LANを使わない。
- 位置情報の設定を無効化する。
- マルウェア対策ソフトウェアを導入する。
被害に遭った場合の対策
ネットストーキングに遭った場合は、迅速な行動が重要だ。
最も効果的な対処は、インターネットサービスプロバイダー(ISP)に通報することだ。それでも事態が改善しない場合は、ISPを変更したりインターネットで使用している名前を変更したりする。
脅迫的なメッセージを送っていない相手であっても問題があればブロックし、ISPに報告する。「Facebook」「X」(旧Twitter)、「LinkedIn」などの主要なソーシャルメディアには、迷惑行為を報告する機能が備わっている。
脅迫や恐怖を感じる段階に達した場合は、以下の対処を取る。
- 証拠を保存する。
- 法執行機関に連絡する。
- インターネットでの個人情報の開示を最小限に抑える。
- 必要に応じて、加害者を欺くための偽情報を投稿する。
ネットストーキングは深刻な犯罪であり、適切な予防措置と迅速な対処が必要だ。デジタル社会の発展に伴い、ネットストーキングに対する問題意識と対策の重要性は今後さらに高まると考えられる。
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