Windowsがどれだけ進化しようが「Macしか勝たん」と思う人の言い分:脱MacからのWindowsは正解か?【第4回】
MacからWindowsへの移行、反対にWindowsからMacへの移行を検討している人は少なくないだろう。Mac愛好者だった筆者がWindowsに乗り換えてみた結果、良い点も悪い点もあった。
AppleのクライアントPC「Mac」を使い続けてきたMac愛好者の一人として、私はMicrosoftのクライアントOS「Windows」の進化にも強い関心を持つようになっていた。MacからWindowsに乗り換えるとはどのような体験なのか、そしてその価値はあるのかを考えるために、AI(人工知能)技術の搭載で関心が高まっているWindowsの「AI PC」を使ってみることにした。MacユーザーもWindowsユーザーも、両OSの違いが気になっている人はこの評価を参考にしてもらいたい。
Windowsが進化しようと「Macしか勝たん」の言い分
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連載:脱MacからのWindowsは正解か?
- 第1回:Macに愛想が尽きた人が「Windowsこそ絶望だった」と感じる理由
- 第2回:「MacをやめてWindowsに移行」で陥るこんなはずじゃ 悲劇の原因は?
- 第3回:Mac愛好者が「Windowsは使いにくい」と感じる“致命的な要因”
Windows 11移行の問題も
MicrosoftはAI PCのブランドとして「Copilot+ PC」を押し出している。その機種の一つに、Dell Technologiesの「XPS 13」がある。Qualcomm TechnologiesのArmプロセッサ(Armアーキテクチャのプロセッサ)「Snapdragon」シリーズを搭載するAI PCだ。私は愛用してきたMacを封印して、このWindows PCを使ってみた。
このようなことを書くと、口うるさい人間が細かいことにいちいち文句を付けているだけだと思われるだろうが、そうではない。Macユーザーから見ると、WindowsとMacにはさまざまな違いある。改善が必要だと指摘したくなる点もあるが、2カ月間使ってみた結果として、良いと感じる点も多数あった。その一部は以下にまとめた。
- Windowsは進化しており、気に入った機能もたくさんある。私がOSとしてWindowsを日常的に使った最後のバージョンは「Windows 7」だった。ユーザーの観点から観ると、確実に改善されている。
- オフィススイート「Microsoft Office」は大きく進歩しており、AIアシスタント「Copilot」などMicrosoftが新たに取り組んでいる新機能が盛り込まれている。Macとの相違点に関して一部で不満はあるものの、Windowsとそこで動くオフィスアプリケーションを含めて優れたものになっていることは間違いない。
- Windowsにおいてオンラインストレージ「OneDrive」との連携は問題なく機能している。
- 箱から出して使用可能にするまでの手順「OOBE」(Out-Of-Box Experience)は素晴らしかった。すぐに接続して作業に必要なものを全て準備することができた。
これらを加味すると、もし私が何年にもわたってOSのバージョンアップを繰り返してきたWindowsユーザーだったとしたら、満足しただろう。
Macユーザーから見たWindowsの総評
だが、Macから移ってくるといろいろな部分が目に付き、小さなことも気になりやすい。どうにかして乗り越えようと思っても、アイコンや用語や手順などの違いが次々と押し寄せてきてしまう。
断っておくが、その問題は使用しているハードウェアのせいではない。ほぼ全ての責任はMicrosoftにある。Macユーザーも使いたくなるようなPCをハードウェアパートナーに作ってもらいたければ、Microsoftがやるべき重要事項がある。
- Macユーザー専用の移行支援機能を用意する。キーボードのソフトウェアオーバーレイのような単純なものでもいい。「Command+C」を押す代わりに、「Alt+C」ではなく「Ctrl+C」を押す必要があるということがすぐに分かると助かる。スクリーンショットを撮ったり画面を拡大表示したりする際に、Macと同じように操作できるキーボードショートカットを作成できたら便利だろう。
- Copilotを役に立つものにする。Copilotの導入は画期的なものであることに違いないが、実際にはまだ役に立たないことが多かった。MacからWindowsへの乗り換えを後押しするツールとして強く勧める気にはなれない。
- WindowsのPCとスマートフォンを連携させる機能「Phone Link」を改善し、可能な限り十分な機能を備えるようにする。
- 記号の入力やデスクトップアイコンのテキストサイズの変更など、細かい部分にも気を配る。
- マウスのスクロール方向を簡単に変更できるようにする。これについては、Copilotも私に同意してくれた。
要するに、乗り換えは簡単ではない。Macからの移行を検討するユーザーは、誰しもがそこに留意しなければならない。そしてそれは逆の場合にも当てはまる。MacユーザーがWindowsに乗り換えるときも、WindowsユーザーがMacに乗り換えるときも、詳細は違えど同じくらいの困難が待っている。
Windowsを標準にしようと考えている企業は、Macユーザーを移行させるときに発生する負荷を認識しておかなければならない。その方向で進めるには、サポートとトレーニングにリソースを投入する必要がある。PCベンダーは、優れたデバイスを作るだけでは十分でないことを理解しておくべきだ。移行を支援するツールを作って乗り換えをサポートすることが自分たちの役割であるかどうかを見極める必要がある。それに必要な投資とその見返りを考えると、そうした支援をする価値があるかどうかは分からない。
私の場合、今はMacとWindowsを行ったり来たりしながら両方の世界にいられるかどうかを試しているが、おそらくMacに戻ることになるだろう。1つのエコシステムに縛られるのは好きではないが、その方が総じて楽だ。特定の機能に悩まされたり、キー操作に手間取ったりするよりも、もっと生産的な作業に時間を使うことができる。結局、最後はそれが私の決め手となる。
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