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静かな1月に「ランサムウェア攻撃」が猛威を振るった“2つの要因”NCC Groupが調査

ランサムウェア攻撃は増加傾向にあるが、「1月」に増えるのは異常だとセキュリティベンダーNCC Groupは指摘する。背景に何があるのか。NCC Groupの調査からある要因が浮かび上がった。

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 セキュリティベンダーNCC Groupによると、2025年1月のランサムウェア(身代金要求型マルウェア)攻撃件数は「過去最多」の590件だった。本来であればランサムウェア攻撃がそれほど活発ではない1月に、なぜ今回はかつてない猛威となったのか。

ランサムウェア攻撃が増えた“2つの要因”

 2025年2月、NCC Groupは2025年1月についての調査レポートを発表。ランサムウェア攻撃の一段の活発化について警鐘を鳴らした。「2025年1月には、590件のランサムウェア攻撃が記録された。2021年に調査を始めて以来、最も多かった」と同社は説明する。2024年12月比で3%の増加だったという。

 NCC Groupによると、ランサムウェア攻撃の増加傾向は2024年から続いているが、1月は比較的静かな月であるため、「今回の高水準は懸念すべきだ」(同社)という。2025年1月のランサムウェア攻撃の活発化には2つの要因があるとNCC Groupは分析している。

  • サイバー犯罪集団「Akira」の活動が盛んだったこと
    • NCC Groupによると、2025年1月のランサムウェア攻撃の13%はAkiraによるものだった。
  • サイバー犯罪集団「Clop」の復活
    • Clopは2023年、ソフトウェアベンダーProgress Software(旧Ipswitch)のファイル転送ソフトウェア「MOVEit Transfer」の脆弱(ぜいじゃく)性を悪用し、同製品のユーザー企業を標的にした攻撃を実施。その後、しばらく鳴りを潜めていたが、2025年1月に攻撃活動を本格再開した。

新規勢力にも要注意

 最近現れたサイバー犯罪集団の一つとして、NCC Groupは「FunkSec」を挙げた。2024年12月に最も多くの攻撃を実施したという。2025年1月にFunkSecの活動はやや沈静化したが、引き続き注意が必要だとNCC Groupは指摘する。

 FunkSecに関しては、まだ情報は少ない。AI技術を用いてマルウェアを開発している可能性があるとセキュリティ専門家はみている。AI技術はこれまで主にフィッシングメールの精度を向上させるために悪用されてきた。AI技術によるマルウェア開発は新しい取り組みになる。NCC Groupによると、マルウェア開発をAI技術に任せることで高度な技術力を持たないサイバー犯罪集団でも攻撃力を高められる。大規模なランサムウェア攻撃の実施も可能になると同社はみる。

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